ナチュラル・ウーマン

’Cause you make me feel
You make me feel
You make me feel like
A natural woman




「…なぁに、この曲」

後部座席から尋ねられて、僕はバックミラーごしに彼女のことをチラリと見た。さっきまでウトウトしていたと思ったんだけれど、いつの間にかその大きくてつぶらな瞳を開いて、車窓の外を流れるシティの夜景を眺めている。

深夜のアラスカ。シティのブロードウェイをひた走るのは、芸能事務所スタジオ・イングリッドバーグマンの社用車だ。黒塗りでピカピカの車体、ぶっといタイヤ。広い室内にフカフカのソファシート。最高のナイト・ドライブだ。
分厚いステアリングを操るのはこの僕…スタジオ・イングリッドバーグマンのオフィシャルスタッフ、ローランド・カムリである。なんとあのリン・ミンメイのマネージャーをやっている(サブだけど)。

我が社の大事な商品であるリン・ミンメイは人気絶頂の歌姫だ。「世紀のアイドル」なんて呼ばれてる。それもそうだろう、何しろ彼女は文字通り歌で世界を救ったリアル人類の救世主なのだ。今の地球で、彼女の名前を知らないのは生まれたばかりの赤子くらいのものじゃないだろうか。

忙しい彼女だから、移動中は貴重な休憩時間である。日頃から「車に乗ってる間は体を休めなさい」とチーフマネージャーからも言いつけられていた。なので僕は割りと穏やかな運転を心掛けていたのだが、気がつけば彼女は目を覚ましていて、カーラジオから流れる音楽に静かに聞き入っている。しまったな、音は全部消しておけば良かったか。

僕はラジオの表示に目を落とす。そこにはアラスカ中央放送局のバンド帯が映し出されていた。多分サイトを見ればNOW PLAYINGを確認出来るのだろうが、いかんせん僕は運転中の身である。あのリン・ミンメイを乗せて万が一にも事故など起こせないから、この両手をステアリングから離す訳にはいかないのだ。
なにか他に解決策がないものか色々と考えたんだけれど、特に思い当たらなかったのでいつも通りの返事を返した。聞かれて黙っているのもなんだしね。

「え〜と…わかんない」

「でしょうね」

期待してなかったわ、と小さく呟くのが聞こえて、僕はちょっぴり傷ついた。なんだよ、こんな古臭い曲知らね〜よ。僕は音楽評論家でも、コーヒーの美味しいジャズ喫茶のマスターでもないんだぞ。
ミンメイは視線を車外に向けたまま、車内に薄く流れる歌声に耳を澄ませている。歌っているのは女性だった。音の古さが、この曲がかなり昔に作られたものである事を教えてくれる。



Looking out on the morning rain
I used to feel uninspired
雨の朝を見つめても
感じるものはなかったの

And when I knew I had to face another day
Lord it made me feel so tired
また違う一日を暮らすだなんて
とても疲れてしまうのよ

Before the day I met you, life was so unkind
But your love was the key to my piece of mind
あなたに会うまでの私は、人生に見放されていた
でもあなたの愛が、私の心の安らぎへの鍵になった

‘Cause you make me feel
だってあなたは私を

you make me feel
あなたは私を

you make me feel like a natural woman
あなたは私をありのままの女でいさせてくれるから




とても優しい感じの曲だった。後で知ったんだけれど、この曲は50年も前に黒人のソウル歌手によって歌われた曲なんだそうだ。タイトルは「ナチュラル・ウーマン」。なんとも聞いていて気恥ずかしくなる繊細なラブ・ソングだ。
最新曲にしか興味のない僕の趣味ではなかったが、ミンメイは何故かこのカビの生えたような歌が気に入ったらしい。すぐに覚えて口ずさみ始めた。かのスーパースター、リン・ミンメイの生ア・カペラ。こればっかりはこの仕事に就いていて良かったと思える瞬間だ。



When my soul was in the lost and found
You came along to claim it
私の魂は遺失物取扱所にあって
あなたがやって来て受け取ってくれたわ

I didn't know just what was wrong with me
Till your kiss helped me name it
何が過ちなのか分からなかったの
あなたのキスが教えてくれるまで

Now I'm no longer doubtful of what I'm living for
‘Cause if I make you happy I don't need to do more
私の生き方を、私はもう迷わない
だってあなたを幸せに出来るなら、他にもうなにもいらないの

’Cause you make me feel
だってあなたは私を

you make me feel
あなたは私を

you make me feel like a natural woman
あなたは私をありのままの女でいさせてくれるから




ミンメイの声は人類の至宝だ。僕は素直にそう思う。
巷ではキャンディボイスなんて言われているが、透明感があってハリと艶があって儚いのに力強くて限りなく甘いガールズボイス…う〜ん、こんな歌姫ほかにいないよね。あとはもうちょっとアルコールを控えてくれたら喉の調子も心配いらないんだけどなぁ。

車はもうじきランウェイ・ストリートの彼女のマンションへ到着する。明日も朝早くからTVの仕事が入っていて、睡眠時間もそんなに取れないだろう。僕は労りの眼差しを彼女に向けるが、ミンメイはじっと街の灯りを眺めているだけだ。

「ねえミンメイ」

話しかけてみたけれど、上の空の彼女は返事もしない。きっと次の新曲のことで頭がいっぱいなんだろう。別に僕に興味がないとかそういう哀しい理由じゃないに違いない。
車は静かに高級マンションの地下駐車場へと滑り込む。警備員に挨拶し、いつもの駐車スペースに停めて車を降りた。後部座席のドアを開くと、ミンメイはまだ小さく歌っていた。余程この曲が気に入ったんだろうか。



Oh, baby, what you've done to me
あああなた、私に何てことをしたの

You make me feel so good inside
心の奥底までとても良い気分よ

And I just want to be close to you
ただあなたのそばに居たいだけ

You make me feel so alive
生きている実感をあなたは与えてくれるから




「明日は5時に迎えに来るから。起きててね」
「うん」

エレベーターに乗り、部屋の玄関まで送る。「荷物を中へ運ぼうか」と僕なりに気を利かせたんだけれど「いい、おやすみ」とあっさりドアを閉じられた。まったく、そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。
僕は肩をすくめて立ち去ろうとしたが、すぐに立ち止まる。ドアの向こうからミンメイの携帯の着信音が聞こえて来たからだ。

「もしもし、輝!?ううん、全然大丈夫!」

その名前には聞き覚えがある。確かミンメイが熱を上げている軍のパイロットだ。チーフマネージャーからは「どんな些細な事でも報告しろ」と言われているから、僕はこっそりとマンションのドアに張り付いた。決して卑しい出歯亀な気持ちからではないのだ。これもあくまで仕事である。

「うん、うん。え、会えるの!?ホント?嬉しい!!」

聞いたこともないような乙女チックな声でミンメイは電話の相手と話をしている。きっとドアの向こうではピョンピョン飛び跳ねてでもいるんだろう。世紀のアイドルが男性スキャンダルとはけしからん。クソッこれはなんとしても邪魔してやらねば。
そう思ったけれど、まさか扉を開けてミンメイに説教をカマす勇気がある訳でもない。僕はいま見聞きした事実を急いでチーフマネージャーに報告した。チーフからキツくお仕置きでもして貰えば彼女も目が覚めるだろう。アイドルは常にみんなの物でいなくてはならないのだ。

『結構なことじゃない』

電話に出たチーフの返事は想定外だった。僕は勇んで屋根に登った瞬間に後ろでハシゴを外された気分だ。

「えっと、それはどういう意味で…」
『ミンメイ喜んでたんでしょう?なら結構なことだわ。放っておきなさい』
「で、でも男と会う約束をしてたんですよ?ちょっと問題じゃありませんか??」
『別にいいわよ。好きにさせときなさい』

おいおいおいおい、仕事が忙し過ぎてこのオカマついに頭がイカれたか?それともドラッグでもやってやがるのか?自分が言ってる言葉の意味が分かっているのだろうか。

『ミンメイだって、女に戻る時間がちょっとは必要なのよ。アイドルじゃない、人類の救世主でもない、ナチュラルな女そのものにね』

あろうことか、その後に『童貞のあんたには分からないでしょうけど』などと言いやがった。ど、童貞ちゃうわ!

『いいわね、好きにさせときなさい。ただし一人で勝手に出掛けさせるのだけはダメよ。ちゃんとシークレットサービスを付けるから』

そう言って電話は切れた。僕は途方に暮れて月夜を仰ぐ。
ハア、人の恋路なんて面白くもなんともない。僕は一体こんな夜中まで何をやっているんだろう。

ブツブツ言いながらエレベーターに乗り込もうとすると、後ろで勢い良くドアの開く音がした。振り返るのと同時に僕は思い切り突き飛ばされる。ああ、見て確認するまでもない。こんな事をするのは一人しか僕は思い当たらない。

「ねえ、車出して!」

ひっくり返った状態のまま、僕はミンメイを見上げる。「あらゴメンなさい」とか「痛くない?」とかいう言葉が出てきそうな気配は微塵もない。

「…車だって?」
「そう!輝に会いに行くの!」
「こんな時間に?」
「輝忙しいのよ!いまならお仕事上がりに少しだけお話出来るの!」

軍のパイロットがどんだけ忙しいか知らないが、君より忙しいなんて事はないだろうと思いながら僕はよろよろと立ち上がった。なんだか脇腹が痛い。バレンタインデーの時に楽屋で突き飛ばされて肋軟骨を痛めた時以来だ。

「…どこまで行くの?」
「すぐそこ!カフェ・ド・ジタン!」

ミンメイは今にも駆け出しそうな勢いで足踏みしている。もうこうなったら止まらないのは彼女の目を見れば明らかだ。僕は痛む脇腹をさすりながら、ようようとエレベーターに乗り込んだ。ミンメイと共に地下駐車場へ逆戻りし、事務所の高級車のエンジンスイッチを押す。車の振動がモロに肋骨に響き渡った。

「なんだろう、変な脂汗が出てきた…」
「そんなのどうでもいいから、早く早く早く!」

ボスボスと後ろからクッションで頭を叩かれる。僕は泣きそうになりながらサイドブレーキを解放した。車は音を立てて地下駐車場を飛び出すと、深夜の街路をひた走る。

「あの人に、会いに行くの。夜通し車を運転して!(I Drove All Night)」

「運転するのは僕だけどね」

ミンメイのつぶやきは多分なにかの曲に掛けたんだろうけど、僕にはそんな事を気にする余裕はなかった。ミンメイも僕の返事なんて気にもとめてなかったしね。
だから丁度いいってなもんだ。…なぜだろう、目から汗が…



Cause you make me feel
だってあなたは私を

you make me feel
あなたは私を

you make me feel like a natural woman
あなたは私をありのままの女でいさせてくれるから




ミンメイは走っている車の窓を全開にして、ご機嫌な調子で歌っている。風に髪をなびかせて、はち切れんばかりの笑顔で深夜のシティに歌声を響かせた。それはとても美しい光景だったけれど、それを楽しむ余裕は今夜はなさそうだ。
少なくとも僕にとっては。


今夜はそんな夜だったよ。







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スローなブギにしてくれ

12月24日

少年はその日、一人で静かに待っていた。

ウォータープリンスホテルのトップラウンジ。華やかな装飾に、キラキラと煌めくシャンデリア。薄暗いホールのあちこちで卓上のランプの炎がゆらゆらと揺れている。

少年は、その中でも一等の席に座っていた。目の前にはシティの夜景。クリスマスイヴの、100万ドルの景色が眼下に広がっている。それはとても荘厳で、きらびやかで、美しかった。

少年は目の前のグラスを手に取った。細長いシャンパングラスには、細かな泡の線が立ち上っている。
冷えたグラスの淵を唇に添えると、少年は琥珀色の液体をクッと一息に飲み干した。

胸の奥に、熱いものが広がる。口から強いアルコールを含んだ息を吐き出した。頬は軽く朱色が差し、潤んだ瞳は遠くを眺めている。

ケイン・サンダースは、こうしてもう3時間ほど一人で待っていた。約束の時間はとうに過ぎている。しかし、待ち焦がれる彼の元へと、彼女が現れる事はなかったのである。


「クリスマスイブの最後のコンサートが終わったら、2人でお祝いをしないか。クリスマスのお祝いを」


あの日、思いの丈を打ち明けた。彼女への気持ちを、ずっと胸に抱いていた感情を。
彼女は「うん」とも「いいえ」とも答えなかった。でも後日、この場所と時間をメールしたら、その返事に「分かりました」と応えてくれた。


「21時に、ここで待ってる。君が来てくれるまで、ずっと待ってる」


携帯を手に取り、自分が出したメールを読み返す。彼女の「分かりました」の返事を最後に、二人のやり取りは終わっていた。

ケインはもう一度、ガラス窓の向こうの夜景を眺めやった。
展望台のように、壁一面がガラス張りのトップラウンジからは、360度シティの街並みが見渡せる。
かつて宇宙を飛翔したマクロスも、今日はクリスマスの電飾に彩られて輝いていた。

ケインは携帯でネット記事を開いた。どのニュースサイトも、今日の昼に起きた大事件をトップの見出しに飾っている。

『メガロードまさかの造反!』
『宇宙への逃避行、白昼堂々決行!!』
『シティ上空で真昼の決闘!軍のエースパイロット同士が一騎打ち!』

そして、それらの記事の中に、あの子の名前もあった。


『リン・ミンメイ宇宙へ!』


本当は、分かっている。
ここでどれだけ待っていたって、もうあの子が現れる事はないのだ。
自分の全てを捧げて、この命すら差し出しても構わないほど好きになった相手は、もう絶対に手の届かない所へと行ってしまった。

あの男を追い掛けて?
それとも、以前話していた夢の実現のために?

今となっては確認のしようもない。ただ、間違いのない事実があるとすれば、それはひとつ。

きっともう、あの子に会う事は叶わないという事。


ケインは空のグラスを持ち上げて軽く振る。すると静かにホールスタッフが現れた。

「お代わりをくれないか」

「サンダース様」

ホールスタッフは、礼儀正しく片膝を付いた。

「かなりお進みのご様子です。そろそろお控えになられては如何でしょう」

「構わないよ。君らに迷惑で無ければね」

「迷惑などととんでもない」

ホールスタッフは恭しくケインの手からシャンパングラスを受け取った。そのまま静かに離れて行く。
ケインは酒気に淀んだ瞳で、薄暗いホールを見回した。自分が来た時より大分人の気配も少なくなっている。
それはそうだろう、もう0時を回ろうかという遅い時間だ。イヴを楽しんだ人々は、ホテルの部屋か帰路へと向かう頃合いだろう。

自分は、一人きり。
とても楽しむ気分になどなれない。

新しいシャンパングラスを持って来たホールスタッフに、ケインは自嘲気味に話し掛けた。

「笑ってくれよ。本当は分かっているのに、この席を立って現実を受け入れるのが怖いんだ。…このまま待っていれば、もしかしてあの子が来てくれるかもなんて…バカみたいだろ?」

ホールスタッフは何とも言いようのない困った顔になっていた。「とんでも御座いません」とだけ言うと、ケインを一人にしておこうと静かにその場を離れて行く。

ふと、ケインの目の端に珍しい物が映った。ホールの端にある大きな筐体。それは暗がりの中で、自らが発する淡い光によって幻想的に浮き上がっていた。
あれは何だ?ジュークボックス?まさかこの高級ラウンジに、あんなクラシックな骨董品があるなんて。
ケインは去って行くホールスタッフの背に声を掛ける。

「あれは動くの?」

呼び止められたホールスタッフは、ケインの指差す方に顔を向けた。

「はい。先日ここでパーティをされた方のご希望でご用意しました。見た目は古いですが中身は新品です。もうじき業者が引き取りに来る予定ですが…」

ケインはじっとそれを見つめた。

「鳴らしたら迷惑かな?」

ホールスタッフは、ケインの意外な申し出に驚いた様子だった。しかし、彼に同情したのか、軽く周りを見回してから小さく頷く。

「お客様も少なくなっておりますし、少しでよろしければ」

「ありがとう」

ケインはチップを払おうとしたが、ホールスタッフはそれを固辞した。

「ご希望の曲など御座いますか?」

ホールスタッフの言葉に、ケインは少しだけ考える。

「あの子の歌を」

そう言い掛けて、やめた。
遠くの星空に目を凝らす。
あの光の中の一つに、あの子の笑顔があるのだろうか。

「…スローなブギにしてくれ」

ホールスタッフは恭しく頭を下げて去って行った。
やがてラウンジには、ゆったりとしたピアノが流れ始める。楽しくも悲しいそのboogie-woogieの旋律に、ケインはじっと耳を澄ませて聞き入っていた。

冬のアラスカの星空は、雲ひとつなく美しかった。
まるで大宇宙の彼方のように。


そして少年はまたひとつ、大人になる。




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Oh , darling

冷たい冬の雨がシトシトと降り続くアラスカの夜。
ボリュームつまみを思いっきり捻ってビートルズのOH ! DARLING
を聞いていた。

ウーファーが震えるくらいの大音量。でも、全然物足りない。アルコールに浸された身体をゆっくりと大型のウッドスピーカーに覆い被せると、お腹の底まで振動が伝わって来る。
迫り来る音の波に、細い胴体は細かく、そして力強く震わされた。

ポール・マッカートニーの歌い出しがとても耳に、というか心に響く。サビのカッティングギター、懸命に絞り出すような枯れた声。
聞いているだけで、過ぎ去った色んな過去が脳裏に浮かんでは消えて行く。


オー、ダーリン
あなたに見捨てられたら
私は一人じゃなにも出来ないの
ねぇダーリン、私を信じて
お願いだから私を一人ぼっちにしないで


手にしたグラスから水滴がポトリと垂れる。
癖のあるラフロイグ。匂い立つそれを軽く一口あおると、ポールの嬌声を割いてカランと氷の音が耳を叩いた。


「Oh,darling…」


ポールのリードボーカルに合わせて、弱々しく呟く。小さな桜色の唇が、部屋のダウンライトに淡く照らされている。
長い睫毛が揺れて、少女は反対側の手に持った古臭いフィルムフォトを眺めやる。そこには、夜の噴水を前にした少年と少女が屈託のない笑みを浮かべていた。



354189.png



幼い二人の青春の1ページ。
腕を組んで、楽しそうに微笑んでいる。少女はそれをじっと眺めながら、大粒の瞳からポロポロと水晶のような涙の雫を零している。

涙の跡は、黒く頬に二本の線を引いていた。脂に溶けたアイライナーが大きく滲んで、少女の表情により憐れみの雰囲気を加えている。

窓の外は真っ暗で、ただ雨の水滴だけがひっきりなしに無作為な模様を作り出しては消え、消えては作り出している。ポールのエモーショナルなシャウトに時たまガラスが打ち震えるが、それ以外に今この世界に自己の存在を示す物はいなかった。


「Oh,darling…if you leave me…」


少女は縋り付くように、スピーカーに覆いかぶさる。鼓膜が破けんばかりのマキシマムボリュームだが、冷え切った身体に温もりを求めるように、少女は筐体にその細く小さな身体をすり寄せる。

とめどなく流れる涙。スピーカーのビッグノイズにかき消されて聞き取れない小さな歌声。
少女は力の抜けた手からグラスを滑らせる。音もなく、強烈なピートの香りが真紅の絨毯の上に広がった。


「When you told me…
You didn't need me anymore…」


かのアイビー・ロード・スタジオで、1969年に収録された古きナンバー。ビートルズ最後のアルバムとなった「アイビー・ロード」の収録曲である。
書いたのも歌っているのもポールだが、後にジョンは「これは僕のスタンスが色濃い曲だ」としてお気に入りの一つにあげている。
捨てられた恋人への気持ちをほとばしる激情と共に歌い上げる、激しくも切々とした悲しい歌。ポールは朝早く一人だけスタジオに早入りし、何度も何度も歌録りを繰り返したという。

心底惚れた女へ捧げる、究極の女々しさ爆発のラブソング。数多あるビートルズの恋愛を歌った曲の中でも極め付けの一つと言えた。
決して取り戻せないあの人の心に、ただひたすら懺悔する哀れな男の心の叫び。

それが、今の少女の心境にピッタリだった。3分ちょっとの短い曲をエンドレスにリピートさせて、その身を音の洪水の中にじっとりと浸している。しがみついた大型スピーカーの冷たさが、アルコールに火照った頬に心地良い。


「捨てないで…捨てないで…」


涙に濡れた瞳を閉じて、力なくその言葉を繰り返す。
少女は声にならない叫びを上げながら、過ぎ去った過去に想いを馳せていた。幸せだった、あの頃の無垢な二人の想い出に…







ただ、
曲が3分を過ぎてエンドを迎えるたびに
この最後の終わり方だけは気に入らない
そう思う少女であった。




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スノー・ウォーズ the Final

戦いとは常に非情である。
どちらかは生き残り、どちらかは斃れる。
全員が笑顔で戦いを終える事は出来ない。そこには必ず勝者の笑みと敗者の涙があるのだ。

「くそ、良い位置取りやがって」

輝は戦っていた。
マックスとの激しい雪玉の応酬。そのうち、鋭い攻撃に追われて木立から追い出されてしまった。息を弾ませ、身を隠せる場所を探して辺りを見回す。すると雪に埋もれた電圧盤を見つけた。輝は勢い良くその後ろへと飛び込む。

「あいた!」
「いて!あ、町崎!」

飛び込んだ先には、プロテクターで身を固めた町崎が潜んでいた。プロテクターの色が白くて気がつかなかったのだ。

「オタクこんなトコに隠れてたのか」
「ひいい、撃たないで撃たないで」

小さくなってガタガタ震えている。まるで猫に捕らわれた子リスの様だ。いや、別に銃とか持ってないし。まあ内勤者が戦場に出ればこんなものか。

「オタク戦わないのか、そのままじゃ狩られるだけだぞ」
「もういいです、お家に帰りたいですぅ〜」

鼻垂れ泣きっ面の町崎に輝が苦笑していると、バスンと音がして電圧盤に雪玉が当たった。上に積もっていた雪がバサバサと二人の頭に降り注ぐ。

「くそ、マックスめ」
「ひぃぃ〜」

電圧盤の陰からチラと覗くと、マックスの姿が木立の中を移動しているのが見える。こちらを攻撃しやすい位置へと移動しているのだ。
空の戦いでは、攻撃に有利な位置を取るほど勝利へ近付く。パイロットにとっては地上に居たとしてもその戦い方は変わらないのだ。

「し、死ぬ〜殺される〜」
「バカ、雪玉で人が死ぬか」
「うう、僕が死んだら真っ白な雪原の中に埋めて下さい。惨めな姿が誰にも見つからないように」
「何を大袈裟な、ただの雪合戦だぞ」

輝は呆れながら町崎のヘルメット頭をポンポンと叩く。そしてふと何かを思い付いた様な顔になった。

「おい、ちょっとこっちに来い」
「あ〜れ〜」

町崎は輝に首根っこを掴まれると、そのままズルズルと引きづられて行った。


一方マックスは残りの敵を仕留めながら移動し、確実にライバルを減らして行く。
飛び交う雪玉をヒョイヒョイと交わし、まるで後ろに目が付いているかの様にスキがない。

「ぐぬう、む、無念…」

最後の雑魚キャラがバタリと倒れ、マックスは颯爽とセントラルパークを走り抜ける。雪合戦だというのにサングラスも外さない。余裕たっぷりな天才は、油断なく左右へ視線を走らせた。
…居た。あの人だ。
最後の強敵。最大のライバル。もっとも警戒すべき相手の癖っ毛頭が、パークの並木の向こうを移動しているのが見える。

「隊長、今日だけは僕がいただきますよ」

マックスは不敵に笑うと、硬く小さめに握った雪玉を握りしめて雪豹のようにしなやかにターゲットへと近付いて行く。
相手はこちらに気付いた様だ。進む方向を変えて逃げ出した。マックスは全速でそれを追う。

「逃げられませんよ、隊長!」

マックスは器用に雪道を走り抜けると輝の背後に接近した。輝は新雪に足がハマっているらしく動きが鈍い。あと10メートルで射程範囲内だ。5メートル、1メートル…

「もらった!」

マックスは小さなモーションで肘をスイングさせる。小さくて密度の濃い、投げやすく加工された雪玉は高速で真っ直ぐに標的へと飛んで行った。しかし赤外線誘導のないミサイルは惜しいところで相手の脇腹を掠めて過ぎる。
マックスは舌打ちすると、すぐさま片手でざっと雪を拾い上げ、走りながら両手で球にして行く。相手は先ほどの球に驚いたのか、はまたま新雪に足を取られたのか見事に前のめりにズッコケていた。

「よし!」

マックスはうつ伏せに倒れた輝の背後へと走り込んだ。雪玉を構えて、大の字のまま動かない輝に声を掛ける。

「隊長、ジ・エンドです。覚悟は良いですか?」

マックスはニヤリと笑うと腕を振り上げた。
戦いとは残酷なものだ。そこには勝者と敗者が存在する。片方は生き残り、片方は消えゆくのだ。

輝は倒れたまま、ゆっくりと顔だけをマックスに向けた。
その顔は…笑っていた。マックスは思わず手が止まる。

「マックス、お前は天才だが、自分の才能に溺れちまう傾向がある。いつも言ってるだろ?戦いはチームプレイだって」

マックスはハッとなる。それと同時に、ポスンと背中に雪玉が当たった。
驚いて振り向くと、そこには雪男…と見まごうばかりに真っ白に雪にまみれた小男が立っていた。
寒さからか、ガタガタと震えている。何だか全身がモコモコとしていて…あれはプロテクターか?白くて全然気がつかなかった…

「ま、町崎君…どこに居たの…」
「う、埋まってました…」

ガチガチと歯を鳴らしながら町崎は「へへへ」と笑う。強敵を追い詰めたという興奮が、普段は注意深いマックスの目を濁らせていたのだ。保護色で雪の中に伏せていた町崎を、マックスは完全に見落としていた。

囮が敵機を引きつけて、背後から僚機がロックオン。

近代航空戦の基本中の基本だ。ドイツでロッテ戦術が開発されて、もう80年も経っている。

「負けた…」

マックスはヘナヘナと膝から崩れ落ちた。癖っ毛の雪を払い落としながら歩いて来た輝が、マックスの肩にポンと手を置く。

「これが本物の戦場じゃなくて良かったな」

マックスは顔を上げた。その顔は悲壮感に満ちている。あまりに哀れなその様子に、思わず輝はギョッとなった。
そもそも、なんでマックスはここまで必死になって雪合戦なんかやっていたんだろう?こんなものにのめり込む様なキャラクターじゃないだろうに…

「なあマックス、オタクなんで…」

口を開いた輝の脚に、ガシッとマックスが縋り付いた。

「隊長!お願いです!」
「な、なんだマックス」
「ミリアにだけは、ミリアにだけは手を出さないでください!」
「…出すか、バカ!!」

輝は憤然として縋り付くマックスを振りほどいた。
そうか、成る程。マックスも俺と同じだったんだ。途中で気が付いた。あの人の唇が、他の男に奪われてしまうかも知れないって事に。
これは奪う戦いであると同時に、守る戦いでもあったのだ。

そういやミリアは美人だし、人気あるものなぁ

高嶺の花という意味では未沙もミリアも似ている。こんなイベントがあれば狙われるのは当然だろう。
輝はため息を吐くと、マックスにグッと手を差し伸べた。

「俺たち仲間だろ?そんなつもり、ハナから無いさ」
「隊長…」

マックスは瞳を潤ませて輝の手を握った。輝はマックスを引き起こし、2人はそのまま熱い握手を交わす。

「柿崎君は言い出しそうだったので、絶対に負かせるつもりでいました」
「うん、それは俺も否定出来ない」

2人は顔を見合わせて笑う。ああ、なんて爽やかなエンディングだろうか。戦いとは無情であるが、こんな終わり方もアリなんだな…

ポスッ

そんな感慨に浸る輝の背中に、雪玉が当たった。
輝が振り返ると、そこには歓喜の表情を浮かべる町崎がプルプルと両腕を震わせている。

「か、勝った!僕が優勝だ!」

唖然とする輝とマックスを置いてきぼりに、町崎は歓声を上げながら走り出す。歓喜の歌声を響かせて、パーク内を勝利のウィニングランである。

「僕が優勝ですよ〜!町崎健一、町崎健一の優勝だ〜!!!」

はしゃぐ町崎の視界に、大会実行委員をしている女子オペレーター達が映った。
その中に…居た!は、早瀬中佐!
いつものアバズレ三人組と楽しそうにお喋りしている。ああ、その笑顔、雪よりも透き通る白い肌、桜色の唇…ぼ、ぼ、ぼ、僕の物だ!アレが僕の物に…!!

「早瀬中佐〜!!」

駆け出す町崎。それに気がつく未沙とヴァネッサ、キム、シャミー。

「僕が、僕が優勝しました!あなたの町崎が、今参ります〜!!」

嬉し涙と鼻水とでクシャクシャになりながら町崎は疾走する。愛しいあの人の元へ、愛する“氷の姫”の胸の中へ…

「早瀬さ〜ん!」

ムチュ〜と唇を突き出して突進する町崎。僕は英雄だ、唯一の勝者だ!男どもよひれ伏せ、女どもよ崇めよ!我こそは町崎健一!我こそは町崎…

パンッ

乾いた音一発。
町崎は未沙にビンタで雪の中に張り倒された。

「やだ、何言ってるの町崎君」

未沙は怒った様な顔で町崎を見下ろしている。

「…へ?だ、だって優勝商品は好きな人にキスって…」

殴られた頬に手を当てて、町崎は未沙を見上げる。呆れ顔の未沙は腰に手を当てて、その桜色の薄い唇を開いた。

「嫌よ、なんでそんな事しなきゃならないのよ」

それだけ言うと「じゃあ皆んな程々に楽しんで」と笑顔で手を振って指令センターへと帰って行った。
唖然としてその後ろ姿を見送る一同。

『さーこの後は後夜祭でーす!キャンプファイヤーやるよ〜!気になるあの子をダンスに誘ってね!』

その場の空気を切り裂く様に、マイクを掴んだキムが叫ぶ。負けて意気消沈していた男共は雄叫びをあげて拳を突き上げた。

「元々こっちが本命だものね」

ヴァネッサがフフフとウィンクする。シャミーは口元に手を当ててケタケタと笑った。

「こんな仕事してたら、出逢いなんて無いものね〜。や〜ね〜」

キムがマイクに向かって叫ぶ。

『クリスマスまでに恋人をゲットするぞ〜!』

おー!

『ニューヨークに行きたいか〜!』

おおー!

浮かれた大勢の男女の叫び。そしてセントラルパークにうず高く積み上げられた焚き木に火が付けられた。
どこからともなくマイムマイムが流れ出す。BGMに載せて協賛メーカーの紹介が始まった。冬のアラスカの夕陽は早々と沈み、辺りはしっとりとした夜闇へと包まれ始める。

皆の笑顔が焚き火に弾けた。
この夜、多くのカップルが軍内で誕生したと言う。

優勝した町崎を除いて。

「あ、あの…僕…優勝……」

一人雪の上に取り残された町崎。彼はこの日身体を冷やし、悲しみのなか風邪をひいて勤務を休んだ。



戦いは虚しい。
世界に平和が訪れます様に。
メリークリスマス。




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スノー・ウォーズ 3

「なんだ輝ぅ、お前知らなかったのか」

ヒョロヒョロと飛んでくる雪玉を避けながら、スカル大隊長のロイ・フォッカーが野太い声を上げた。
所々に造られた雪壁やパーク内のベンチ等に身を隠し、周囲の警戒を怠らない。そしてその足元では、癖っ毛を揺らしながらせっせと輝が攻撃用の雪玉を作っている。

「早瀬は意外に人気があってな、“氷の姫”なんてアダ名で呼ばれたりしてる。あのツンケンした所が逆に良いんだとよ。変わってるよな」

日に焼けた色黒な顔をサッと木の幹に隠す。一瞬遅れて雪玉が木にぶつかって四散した。フォッカーは手にしていた雪玉を構え直し、狙いすまして撃ち返す。少し離れた所でギャーと男の悲鳴が上がった。

「因みにタイトルの事は気にするな」
「え、何です?」
「いやこっちの話」

フォッカーはんんっと咳払いをする。

「お前と早瀬くらい仲が良ければ、当然知ってるもんだと思ってたがなあ」
「仲なんか良くありませんよ!」

輝は作りたての雪玉をポンポンとフォッカーに渡す。フォッカーは器用にそれらを捌きながらヒョイヒョイと新たに数人の犠牲者を生み出した。

この雪上のバトルロワイアルにおいて、チーム戦は大切な要素だ。大会実行委員のキム・キャビロフ中尉が肩をカクカクさせながら「今日は皆さんに、ちょっと殺し合いをして貰います」という不思議な挨拶で始まったこの情け無用の戦いは、文字通り「雪玉が当たったら負け」という一発勝負である。
特に「徒党を組んではいけない」ともルールに書いて無かったので、開始と同時に輝はレーサー時代からの先輩であるフォッカーに肩を叩かれていた。

「ん?そうか、俺はてっきりお前らはもうデキてるもんだと思ってたぞ!ガハハハ」

更に二、三人を葬りながらフォッカーは陽気に笑う。輝は頬を赤くしながら立ち上がって反論した。

「そ、そんな事してませんよ!何であんなオバさんなんかに…」
「そうか?早瀬も良く見ると器量好しだぞ」

今度はフォッカーが座って雪玉を作り始める。輝は木立の間から警戒して辺りをキョロキョロと見回した。

「そりゃあ口は悪いし、態度はデカいし、細かいし口うるさいしいつも怒ってるし…ん〜、お前よくあんな女に惚れたな」

「ほ、惚れてませんて!」

輝は肩を上げて大きく振りかぶる。ちょっと距離が遠過ぎたのか雪玉はターゲットの2メーターほど左に着弾した。相手は驚いて逃げて行く。

「俺には、心に決めた人が居るんです!」
「ミンメイか?振られたろ?」

あっさりと返されて、輝はガクリと項垂れる。フォッカーが慌てて輝の背中をバンバンと叩いた。

「元気出せ、輝ぅ!今度とって置きのいい所に連れてってやるから。な?
可愛い子ちゃん抱いて出すもん出しゃあ失恋の痛みなんざ…」

話の途中で、不意に輝は突き飛ばされる。そのままドサリと雪の上に倒れこんだ。
驚きつつも顔にかかる雪を払いのけ、文句を言おうとフォッカーを見上げたら…女遊びの大好きな色黒の先輩は被弾していた。輝を庇ったのだ。

「せ、先輩⁈」
「ふ…輝も幸せな奴だ。腕の立つ部下を持って…」
「先輩〜!」

輝はハッとなって木立の向こうを見る。木陰に揺れるマット調のミディアムヘア。素早い動き。
間違いない、あの“天才”野郎だ…!

「くっそぉ〜!」

輝は両手に雪玉を抱えて走り出す。左右からワラワラと敵が出現するが、ほとんど画面から見切れているレベルで輝とマックスに撃ち斃された。

「マックス、よくもやったな!」
「どうしたんです、一条君。急に臆病風吹かせちゃって」
「なにぃ!」

手玉の切れた二人は一斉にしゃがみ込み、雪玉を作り始める。一個、二個、三個。それはまるで荒野の決闘。早打ち自慢のガンマンが、互いのスキルを競っているかの様であった。

「マックス!」
「隊長、これだけは負けられない!」
「お〜い、隊長、マックス〜」

二人は同時に立ち上がり、雪玉を放った。ちょうどそこへ現れた柿崎が両側から雪玉を受けて「うわぁ!」とか何とか言いながら轟沈する。

「マックス、お前ヤル気無かったんじゃないのかよ⁈」
「隊長こそ、何でそんなに優勝したいんですか!?」
「な、何でって、そりゃ…」

言われて、輝はスタート前の事を思い出す。未沙にキスして告白すると言い出した町崎に、驚きながらも笑ってしまった。町崎なんかをあの未沙が相手にする筈はない。でも、告白の結果はどうあれ、この雪合戦で誰かが優勝したら、未沙が他の男にキスされるって可能性が…

改めてその事実に気がついた輝の耳に入って来る周囲のざわめき。

「早瀬中佐が…」
「あの氷の美姫の唇に…」
「絶対に手の届かない相手だからこそ…」
「キスして罵られたい…」

何故だか輝は、心の中が激しくザワついた。無性に胸の中を搔き乱したくなる不思議な衝動。
そして、あの時の事を思い出す。
ゼントラーディ艦隊に囚われの身となり、敵の総帥の前でしてみせた未沙との初めてのキス。
任務での、キス。

あの唇が。
高潔で清廉な、誰にも媚びないあの未沙の唇が、どこの誰とも分からぬ男に奪われようとしている…

「だ、ダメだ、そんなの…」
「?隊長、何がダメなんです?」

マックスに聞かれて、ハッと我に帰る輝。

「あ、いや、何でもないんだ、何でも。ハハハ」
「さぁ、隊長!マックス!いよいよ始まりだ、準備はOK?!」

柿崎に促され、輝はスタート地点に着く。ふと気になって隣りの柿崎に向き直った。

「なあ柿崎、お前、誰にキスするのか決めたのか?」
「う〜ん」

柿崎はニヤニヤしながら顎に手を置いた。

「まだ迷っとりますが、早瀬中佐なんか良いですね。前に隊長だけキスしてて、あん時俺はお預けでしたから!」

ニカッと笑う柿崎。その屈託のない笑顔に、輝は思わず柿崎の足を思い切り踏んづけていた。




テーマ : 懐かしいアニメ作品
ジャンル : アニメ・コミック

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iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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