『いのちの選択を - 後編 -』 目次

過激化してゆくメガロード反対運動。人類に希望があるのは宙(そら)か大地か。

君が選ぶんだ
どっちを殺す?



〓 登場人物紹介 〓

一条輝
新統合空軍准佐。宇宙戦争の英雄で「飛行機の申し子」。酷いくせっ毛が悩み。本章の主人公。日本人。21歳。

早瀬未沙
新統合軍大佐。人類初の星間移民艦メガロード艦長。一条輝の元フィアンセ。通称“鬼より怖い大佐”。日本人。23歳。

リン・ミンメイ
人類を歌で救った世紀のアイドル。既に引退を表明している。一条輝の恋人。チャイニーズハーフ。19歳。


〓 新統合軍 〓

リン・チーリン大尉
新統合軍広報部に所属する中国人。実は酒乱。25歳。

ブルーノ・J・グローバル元帥
新統合軍総司令。早瀬未沙の後見人的存在。

ニカ・チェーホフ少佐
新統合軍情報部特務主任。戦前はロシア秘密警察として暗躍していた。29歳。

グレゴリ・ジノビエフ准将
軍務省出身の軍官僚。ノースロム経営陣の親族で、次期総司令を狙っている。

早瀬輝(あきら)
未沙の従兄。元新統合軍アビントン空軍基地司令官。ゼントラーディ人を連れた地球外逃亡計画を企て失敗。現在は生死不明。33歳。


〓 GCC(Global cross company) 〓

リン・カイフン
ミンメイの元マネージャーにして元カレ。弁舌に優れるアジテーター。中国人。26歳。

レ・ズアン
中国難民キャンプでカイフンと一緒になった元軍人。片目で剃髪している。ベトナム人。41歳。
 
ナジブ・シャリフ
シティの学生会の中でも”ベイビーパンサー”と呼ばれるカイフン親衛隊の中心人物。アラブ人。21歳。


〓 新統合政府 〓

コンラッド・ブエノ
現内閣の報道官。高身長高収入イケメン独身という無敵のスペックを持つメキシカン。35歳。

フー・チンタオ
左翼系最大野党”自由の手”幹事長。現政権の転覆を狙っている。中国人。

ディビッド・カナリー
移民庁事務次官。官僚系トップ。次期政権での入閣を夢見ている。イギリス人。

ウーゴ・アデネロ
与党所属の官房副長官。凄い針金頭。アルゼンチーナ人。与党派企業のオーテックに便宜を図っている。


〓 民間・その他 〓

ボーリゾン・ボギンスカヤ
リン・ミンメイのチーフマネージャー。本当は情報部のエージェント。ミンメイの護衛及び監視が任務。オカマ。

ケイン・サンダース
若手の売れっ子俳優。ミンメイに好意を寄せている。17歳。

アドルフ・スタイナー
マクロスシティ17分署の部長刑事。いわゆるデカ長。ギョロ目がキュート。

スーデル
旧ラプラミズ直営艦隊所属のゼントラーディ人。特殊部隊出身。

ミス・チャイチュア
謎の女性。チェーホフの部下?若作り。

ヒゲダルマの男
謎の男。チェーホフの部下?関西弁。

ビル・チャップリン
軍需産業最大手オーテック会長。見た目がブルドッグに似ている。68歳。



  1 8月5日。

  2 「あいつ!」

  3 『あ、輝?今日ジュノーTVに来てるんでしょう?』

  4 ミンメイが電話を切ると、

  5 「来ますかねぇ」

  6 GCC側の控え室には

  7 「ナジブ、何それ?」

  8 「話の主体は私が」

  9 VIP向けの控え室から出発して、

 10 未沙の妊娠が発覚したのは、

 11 グローバル総司令、ブエノ報道官らと共に

 12 チーリンと言い争うのは毎度の事だが

 13 未沙と目が合った。

 14 降りてきたエレベーターに、未沙は乗っていなかった。

 15 スタジオには、観覧客が大勢入っていた。

 16 女性活動家のヨーコ・タジマは、世界中の働く女性達の味方だ。

 17 スタジオ入りした輝が、

 18 アラスカ標準時間、18:30。

 19 この時、政府側の3人の間には細かな連携が敷かれていた。

 20 もちろん未沙自身「軍の正義、政府の公正」を信じている訳ではない。

 21 GCCの新たなる若き代表リン・カイフンは

 22 「もう1つ例え話をしよう」

 23 ボドル基幹艦隊との決戦の直後、

 24 全ての注目は、

 25 グローバルが口を開きかけた時、

 26 幼い頃、フェニックスのKARATE道場に

 27 「いてて…」

 28 GCC陣営は沸き立っていた。

 29 「あの女は、なんであんな格好をしているんだ?」

 30 休憩の間に、ブエノ、未沙、グローバルの三者は

 31 「5.4.3…」

 32 隣の席のGCC北米支局長が、カイフンの顔を心配そうに覗き込む。

 33 「良かったじゃない、あなたの目論見が当たって」

 34 ミンメイとスタジオに入っていたボーリゾンは、

 35 「ちょっと外してくれない?」

 36 2人は通路を進んで行く。

 37 リン・チーリンはじっと早瀬未沙の後ろ姿を見つめていた。

 38 リン・カイフンに異常が発生したのは誰の目にも明らかだった。

 39 初めに発砲したのは、

 40 謎の武装集団のリーダーは、マイクを掴んで挨拶を続けた。

 41 「なんだぁ」

 42 武装集団は、自らを「ムジャヒディン」と名乗った。

 43 「まず最初に確認したい事がある」

 44 カイフンは焦りの表情でバイバルスを見た。

 45 「膨大な数のゼントラーディ軍と監察軍がこの銀河系に広がっている事は」

 46 輝とチェーホフとの遭遇はまさに偶然だった。

 47 TV画面に釘付けになる輝とボーリゾン。

 48 輝、ボーリゾン、チェーホフの奇妙な三人組は

 49 スタジオは沈黙に包まれている。

 50 まず、観覧客が近くにいない出入り口の監視役から狙う。

 51 「で、その上官と寝たの。今朝までね。タフで参ったわ」

 52 脚が震えた。

 53 輝は平手打ちをされて目を覚ました。

 54 バイバルスの告げた要求は、簡単に言えば回教徒への弾圧を止めろと言う物だった。

 55 未沙の提案に、ミンメイが言葉を続けた。

 56 バイバルスは立ち上がると、ミンメイの腕を掴み立ち上がらせた。

 57 そんなもの、選べる訳がない。

 58 残酷な遊びに興じる子供たちを叱るのは大人の役目だ。

 59 未沙は悲鳴を上げた。

 60 拳闘において、拳を打ち込むパンチングは

 61 輝が捕まってしまったのを確認すると

 62 テロリストに扮装したチェーホフは、

 63 スーデルはチェーホフの命令で、

 64 「スプリット、君の任務は」

 65 ボーリゾンは片手でミンメイを抱え上げると

 66 スタジオ内は戦場だった。

 67 未沙を抱えてスタジオを脱出したのは

 68 ミンメイは、人の流れに飲まれてよろめいた。

 69 ボーリゾンの乱入で、テロリスト達は混乱していた。

 70 そのテロリストは、

 71 逃げ惑っていた人々は、

 72 「総司令、しっかり!」

 73 警戒しつつ、未沙は通路を進んで行く。

 74 視界にあの男の顔を捉えた瞬間

 75 あ、私死ぬんだ

 76 それは壮絶な光景だった。

 77 ケインはミンメイが囚われている事を知ると

 78 スタジオ内部での混乱を確認すると

 79 ボディバッグ(遺体収納袋)は、

 80 「しかし参っちまいますね」

 81 大きな被害をもたらした全世界LIVE中継のTV討論会は

 82 「笑っちゃうわー、こんなにうまく行くなんて」

 83 ニカ・チェーホフの日記(8月17日〜8月5日の抜粋)

 84 事件から一週間後

 85 「いのちの選択を」 校了にあてて




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8月5日。

8月5日。

この日が、戦後の歴史に残る一日となる事が予め分かっていた人間など居る筈もない。
しかし後日になると、人々は「あの日は異常に暑かった」「朝焼けの色が変だった」「鳥が一羽も飛んでいなかった」など、様々な理由付けをして特別感を演出しようとする。
それにどんな意味があるのかは分からないが、少なくとも当事者達にとってはそんな話では納得出来ない、まったく予想外の出来事であったと言える。

その当事者の一人である星間移民艦艦長 早瀬未沙大佐は、討論会会場となるアラスカ・ジュノーTV本社に午後16時17分に到着した。
その前に一旦、移民庁に寄って懐かしい面々らと顔を合わせている。
まずは移民庁長官が留守の為、事務方の官僚トップ、カナリー事務次官に挨拶をする。彼も今日の討論会に政府官僚として参加予定だ。

「移民の仕事は反対も多い、お互い苦労しますな」

古風なイギリス紳士然としたカナリー事務次官は、いつも早瀬大佐には紳士的な態度で接して来る。それが大袈裟でなんとも可笑しくて、早瀬大佐はいつも口元が緩んでしまう。

月に4ヶ月ほど滞在している間、通信画面でミーティングをしていた移民プロジェクトチームと30分ほどの短い会議をし、夥しい護衛官らと共に慌ただしくTV局へと出発した。
総務課のチェンが、秘書代わりに移民庁のスタッフとして同行する。残念ながら今の早瀬大佐はカフェインを控えている為、彼の淹れる絶品の紅茶を愉しむ事は出来なかったが、その代わり彼の優秀な処理能力に助力して貰っていた。

午後16時31分、政府の報道官であるコンラッド・ブエノ氏がジュノーTV本社に入る。控え室で早瀬大佐と合流。内閣府で何度も打ち合わせを重ねた移民計画の趣旨説明について最終確認を行う。

午後16時50分、新統合軍総司令グローバル元帥がTV局に到着。

午後17時8分、GCCのリン・カイフン一行が到着。

午後17時30分、出演者各位が一旦スタジオ入り。カメラチェック、進行確認。

午後18時00分、客入れ。ナジブ・シャリフらベイビーパンサーのメンバーが客席へ。

午後18時30分、全世界同時LIVE中継開始。


GCC側と新統合政府及び軍部による討論会は、タイムスケジュール通りにスムーズに開始された。

スタートだけは順調だった。




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「あいつ!」

「あいつ!」

水色の髪をした女は叫んだ。
驚いて、仲間が女の肩を掴む。

「おい、大声出すんやない」
「あいつだ!あいつにやられたんだ」

ギリギリと歯ぎしりする水色の髪の女。ボーイッシュなショートカットで、瞼やら唇やらにピアスがいつくも並んでいる。全部合わせたら20個以上はあるんじゃないだろうか。

「なんや、どいつがどないやって?」

ヒゲダルマの男は訝しげに水色の髪の女が指差す方向を見る。
ジュノーTV本社ビル上層階から見下ろすと、物々しい警備団に囲まれて、噂の早瀬大佐が黒塗りの高級車を降りて来る所だった。通常の女性士官用の軍服ではなく、ゆったりとしたワンピース型のものをまとっている。

「ハヤセを襲った時に、邪魔した奴だ!」

興奮しながら水色の髪の女は左肩を手で押さえた。その下には、過日銃弾を撃ち込まれた銃創が残っている。

「例の、助手席に居た奴かいな」
「そう!あたしが手榴弾を放ったら撃ち返して来た奴だ!あたしは肩を撃たれてトンズラさ」
「結果的に早瀬大佐を殺さなくて良かったやないか。お前さんが勝手な事したから今まであの坊やに干されてたんやで?」
「生っ白い事を言ってるからさ!あんな女、さっさと殺しちまえばいいのに」

水色の髪の女は鼻息荒く言い放つ。ヒゲダルマ男は肩を竦めた。

「やるのは自由やけど、儂を巻き込むんやないで。車椅子の坊やはあの早瀬大佐を大層お気に入りなんや。下手に殺してもうて坊やを怒らせてしもたら命の保証なんかないで」

チッと舌打ちする水色の髪の女。手にしていたバタフライナイフをチャキチャキと鳴らして遊んでいる。

「あいつはあたしがやる。絶対だ」
「それは止めへんけどな。早瀬大佐はやめとけ」

聞いているのかどうか、水色の髪の女は凄まじい表情で早瀬大佐とその周りを取り囲む人垣を見ている。
その中の1人に、女は落とし前を付けなくてはならなかった。この肩の傷跡の借りを返さねば。

「待ってろよ、必ずその喉切り裂いてやる」

ため息をつくヒゲダルマの前で、水色の髪の女はピアスだらけの下唇を舌舐めずりした。




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『あ、輝?今日ジュノーTVに来てるんでしょう?』

『あ、輝?今日ジュノーTVに来てるんでしょう?』

電話の向こうのミンメイの第一声に、輝は心臓が飛び上がった。

リン・チーリンとの蜜月の時を経て、一度官舎に戻りシャワーを浴びてから一眠りした。
夕刻になってチーリンが軍のジープで迎えに来る。2人は後部座席で何となく気まずい雰囲気のままTV局に向かった。
控え室でも、チーリンとの会話は弾まなかった。どうしても今朝まで過ごした濃密な時間を意識してしまう。
輝はとにもかくにも何か声をかけようかと思って「元気かい?」と聞いてみた。言ってから、我ながらバカな事を言っているなと呆れる。
しかし、チーリンは真面目に「はい、元気です」と答えて来た。いつもの調子で小馬鹿にされるかと思ったが、なんだか拍子抜けだ。

そりゃ良かったねとでも返そうかと思った時に輝の携帯が震える。発信者はミンメイだった。まさか自分の行動がバレている訳でも無いだろうが、輝は少し緊張して電話を取る。

で、最初の一言だ。

「え?う、うん…何で知ってるの?」
『プロデューサーさんがね、教えてくれたの!私もいまジュノーに居るのよ』

ミンメイの声は弾んでいた。輝を糾弾する感じではない。単純に、近くに居る事を知って電話して来たのだろう。

「へ、へえ〜、そうなんだ。そりゃ偶然だねぇ」

別に偶然でも何でもなくお互いに仕事をしている訳だが、輝はチーリンの視線が気になって段々小声になる。

『今、歌番組の収録中なの!後でスタジオに遊びに行くね!』

心から嬉しそうなミンメイの明るい声に、輝はなんだか胸が痛んだ。

「て言っても、俺座ってるだけだぜ?」
『いいよ!カッコよく映ってね!』
「う〜ん、自信ないなぁ」
『平気よ!輝カッコいいもん』
「そ、そんな事ないよ」

ちょっと鼻の下が伸びていたみたいだ。チーリンの刺すような冷たい視線に襟足が逆立ってきた。輝は咳払いをすると「じゃあ仕事があるから」とミンメイの電話を切った。恐る恐る広報担当者の顔を見る。
チーリンの細い目はさらに線のように細くなっていた。

「…仲がおよろしくて」
「う、うん、そうかな?」
「セックスは出来なくても恋人同士ですものね」
「お、おい、そういう事言うなよ」

輝は慌てた。自分だけの問題ではない。ミンメイのイメージにも傷が付くかも知れない。これはトップシークレット事項だ。ここが自分達だけの控え室で良かった。

「怒ってるのか?」
「なんで私が怒らなきゃならないんです?」
「だってさ、ほら…」
「准佐、誤解の無いように言っておきますが」

リン・チーリン大尉は平らな胸を張って輝に迫った。輝は後退りする。その輝にチーリンは人差し指を突き付けた。

「一度や二度寝たくらいで自分の女扱いしないでください。私は自由意志を持った1人の人間です。あなたとのセックスはスポーツの様なものだと思っています。だからどーぞご遠慮なく、リン・ミンメイさんと好きなだけイチャイチャでもチューチューでもベトベトでもなさってくださいませ。私などに慮る必要は1mm足りともありませんから」

あ、ああ、そうなのと輝は冷や汗を垂らしながら両手を上げて降参のポーズを取った。気のせいだろうか、言葉とは裏腹にかなり怒っている様にしか見えないのだが…

「あの〜」

2人の後ろから声が掛かる。同時に振り向くと、広報部のチーリンの部下が控え室の扉を開けて立っていた。
「上官を指差して叱りつけている図」のまま、チーリンは「なに⁉︎」とキツめの詰問を飛ばす。広報部の部下は「ス、スタジオ入りの時間です」とだけ告げると敬礼して逃げて行った。後に残ったチーリンと輝はそのままの姿勢で顔を見合わせる。

「…聞かれちゃったかな」
「多分そうでしょうね」
「ま、マズくないのか?その、君の立場的に…」
「別に。どうでもいい情報です」

チーリンはぷいっと顔を逸らすと、クリップボードに纏められた資料関係を手に取った。

「さあ、スタジオに行きますよ!」
「お、おう」

すっかり頭の上がらなくなっている上官の輝は、襟元を正すと開きっぱなしのドアへと進んだ。その後ろ姿を見送って、チーリンは小さく「バカ…」と呟いて後に続いた。




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ミンメイが電話を切ると、

ミンメイが電話を切ると、チーフマネージャーのボーリゾンが話し掛けてきた。

「坊や、今日の討論会に出るの?」
「うん!でもきっと何にも喋れないわよ」

楽しそうにミンメイは笑う。
ミンメイは今日、歌番組の収録だった。この番組に出演するのは今日が最後になる。レギュラーメンバーとしてずっと活躍して来たが、今後はファイナルワールドツアーが忙しくなるため収録に参加出来ないのだ。

控え室は贈り花で埋め尽くされていた。甘く芳しい香りに包まれて、色とりどりの花びらに埋もれたミンメイは無邪気に笑っている。本当に可愛いらしい。まるでいたずらっ子の天使のようだ。それを、ボーリゾンは目を細めて眺めている。

この子に出会えて良かった。この子と共に笑い合えて、本当に良かった。
かつて戦争で敬愛する男を失い、ぽっかりと開いたまま閉じる事の出来なかった胸の穴を、今は忘れる事が出来る。いま、この瞬間は最高に幸せだ。

しかし、間も無くこの子は地球を去り、星の彼方へと旅立ってしまう。それも自分が仕掛けた罠によって。そして、その先には恐ろしい苦難が待ち受けているのだ。

この子を、守らなくてはならない。

謀略は完成させるつもりだった。自分はあちら側の人間なのだから。
それでも、いつからかこの子を救う方法を探っていた。ところが先に約束を破ったのは奴の方だった。その証拠を掴むに当たり、もはやボーリゾンにその謀略を手助けする理由など無くなってしまった。

「ねえミンメイ」
「なあに?チーフ」

ボーリゾンはモバイルタブレットでスケジュールリストを確認しながら話している。

「月末のマイアミ、追加公演が決まったじゃない?その後ブエノスアイレスに飛ぶんだけれど少し時間があるのよ」

「やった!バカンス⁈」

即座に反応するミンメイに、ボーリゾンは笑みが零れる。

「ええ。でね、坊やを連れて行ったらどうかしら」

「え⁉︎」

驚きに、その大きな目をさらに見開くミンメイ。

「いいの⁉︎」

「社長には私から言っておくわ。あなた頑張ってるもの、少しくらいご褒美がないとね」

「やったー!チーフ大好き!!」

ミンメイは子犬の様にボーリゾンに飛びついた。自分がこの子に甘い事はよく分かっている。でも、この笑顔の為なら何でもやれる。例え命を賭す事であっても。

「ああ!大変!」

突然顔を起こして叫ぶミンメイ。ボーリゾンは驚いてミンメイの顔を見る。

「なに?どうしたの?」

「水着!」

「…水着?」

ミンメイはコクリと頷く。

「今年の水着、買ってない!輝とマイアミに行くなら新しいの買わないと!」

ヤレヤレという顔でボーリゾンは鼻から息を吐く。そのボーリゾンの手からタブレットを奪うと、ミンメイは流行りのスイムウェアをチェックしだした。

「ドギツいのにしなさい。坊や、あれでかなりのスケベだから」

「え〜、やだ恥ずかしい!」

「これなんかどう?流行りの色よ」

「ほとんど見えてるじゃない!もっと可愛いのにする!」

笑いながらタブレットを覗き込む2人。いつまでもこの平和が続けばいい…そう願わずにはいられないボーリゾンだった。




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びえり 

Author:びえり 
iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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