『Glory in my mind -後編-』 目次

過激化してゆくメガロード反対運動。人類に希望があるのは宙(そら)か大地か。

少年は成長し、兵士になった
今再び戦場へと旅立つ

一条輝 最後の戦い



  1 出撃前は頭痛が酷い。

  2 式典向けの編隊を可変戦闘機群は組んでいた。

  3 メガロードのブリッヂは三層に分かれた構造となっている。

  4 人類初の星間移民を明日に控え、

  5 軍を管理管轄するのは軍務省であり軍務大臣である。

  6 PM14:00

  7 アラスカ上空3,000m。

  8 かつて宇宙を飛翔した超時空要塞マクロス。

  9 4000m級の滑走路を複数抱える巨大な空軍基地がある。

  10 「その男は、反逆者です!」

  11 「反重力装置、異常なし」

  12 「一体どうなっているんだ!」

  13 早瀬艦長の顔は、穏やかだった。

  14 「叛逆⁉︎叛逆だと⁉︎」

  15 軍務省の廊下を歩いて行く。

  16 2006年春。

  17 メガロード内においても、混乱は発生していた。

  18 その頃、中央研究室では

  19 「スクランブルを急がせろ!」

  20 「全艦放送の準備が出来ました」

  21 未沙の全艦放送が始まる少し前。

  22 争う様な仕草を見せる二機の可変戦闘機。

  23 強烈なGが、輝の身体を襲っていた。

  24 ベルナーシェクの“ブラック・ライトニング”は

  25 俺はロートルか?

  26 キューンキューン

  27 「珍しいですよね」

  28 アラスカの空に、真っ赤な火球が一つ。

  29 「ベルナーシェク機の被撃墜を確認!」

  30 『早瀬艦長、正直私はとても驚いている』

  31 「来ました、地球防衛艦隊です!」

  32 「サンダーライト作戦」と銘打たれた

  33 その放送はカットインする様に流されて来た。

  34 ミンメイは初めてメガロードを訪れた。

  35 And now

  36 静寂は破られ、燃え上がる様な熱気と共に、

  37 戦後の復興期、ミンメイは

  38 「何やってるんだよ、シャトルが出ちまうよ」

  39 「痛い、ミラ離して」

  40 「さ、ミンメイ飲んで。温かいよ」

  41 真っ青な顔をしてシャトルの通路を走るミラ。

  42 私は、あの日のスポットライトが忘れられない…

  43 地球には重力がある。

  44 「どういう事だ!」

  45 《これで良かったか?》

  46 軍務省の大臣執務室。

  47 お尻のポケットに刺した携帯が

  48 連行されて行くジノビエフを

  49 「メガロードは無事旅立った様ですよ」

  50 「そうか、分かった、ご苦労」

  51 大宇宙を征くメガロード。

  52 着艦作業を終えたカロル・シマノフスキ中尉は

  53 一条輝、招待ナンバー1021です

  54 シティのカフェの多くは

  55 「Glory in my mind」 校了にあてて




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出撃前は頭痛が酷い。

出撃前は頭痛が酷い。
最近はいつもこうだ。

暗がりの中、じっと静かに目を閉じてその時を待つ。

機体を乗せたエレベーターが、薄暗いハンガーから明るい射出場へとゆっくり上がって行く。外に風が吹いているのがキャノピーの振動から感じ取れる。
ヘルメットを装着した顔が、闇の中から光の中へと浮かび上がる。そのままコックピットの気密チェックをしつつエレベーターの完全停止を待つ。

右手前の信号が赤点灯から緑点灯に変わった。右手を伸ばし、エンジンマスタースイッチをオンにする。次いでジェット燃料のスターターを操作し、燃料の供給を開始。10数秒で供給スタートの合図ランプが点灯し、それを見てからエンジンのスタートボタンを押し込む。


空は晴れていた。
見渡す限り雲ひとつない青空。
上空3000mを約50ノット(時速90km程)で飛行しているメガロードの甲板上は、凄まじい暴風に晒されている。海洋空母などでは甲板上にメカニックスタッフが常駐しているが、宇宙艦であるメガロードでは目視観察用の背の低い監視台があるだけで、甲板には人っ子一人見当たらない。

大空の開放感に一息つくと、スロットルフィンガーリフトを上げ、右エンジンを点火させる。スロットルレバーを20%に固定。ファンタービンの入り口温度が600度前後で安定しているのを確認し、左エンジンにも火を入れる。

ジェット燃料のスターターを切り、ランプ型吸気口のオートスイッチを入れ、電子制御式キャブレターを運転させる。
INS(慣性航法装置)の調整をしながらテストスイッチで各警告灯の首尾を確認。指を二本立て、自分より低い位置にある監視台に向けて合図を送った。

ブレーキペダルを踏み込むとほぼ同時に、機体を固定していた車輪止めが甲板内に引っ込む。監視台からは外部目視OKのサイン。リモコンでミサイルの安全ピンが外される。
ステアリングレバーを確認し、指定された滑走路へとタイヤを滑らせる。レーダースイッチ作動。自身のハーネスの安全確認。ラダーペダルを踏み込み舵の作動チェック、ピトー菅のヒーターをオン。警告灯の類に異常がない事を最終確認。

監視台のカタパルトクルーが、射出重量を送って来た。今頃CCS(カタパルト・コントロール・ステーション)で重量に合わせたカタパルト蒸気圧がセッティングされている筈だ。
重量に計算ミスがない事をざっと確認し、ランチバーを下ろす。全自動でカタパルトのアタッチメントに接続。

機体の背後で防護壁が上がるが、人のいない甲板でどんな意味があるのだろう。いつもの様に不思議に思いながら、カタパルト・オフィサーに視線を送る。オフィサーは勢い良く腕を回し、フルパワーの合図を送って来た。遠慮なくアフターバーナーに点火。


「Megaroad Control, Skull leader, ready for departure」

『Skull leader, Megaroad Control. cleared for takeoff. After airborn, join right traffic』

「Roger,cleared for takeoff」


管制に報告、監視台に敬礼。射出ボタンが押され、全長14.9mの可変戦闘機は凄まじいハイパワーで虚空の大空へと打ち出された。

急激なGに息が詰まる。
すぐに機体が下に沈み込んで、腹の底に嫌な感触を残して行く。
機体が落ちているのではなく飛んでいる事を確認し、ようやく安堵のため息が漏れる。まったくもって重力下での艦載機発進は好きになれない。
フラップと車輪を格納し、350ノット以上に速度を上げながら高度を作りつつ右に旋回。後続を待つ。


「ああ、今日はいい天気だ」


天候はブリーフィングで何度も確認していたが、自分の身をその中に置くことでより一層強く感じる。
果ての果てまで続くブルースカイを眺めていると、嫌な頭痛も吹き飛んだ。


西暦2013年12月24日。
21歳の一条輝は新統合宇宙軍の少佐であり、メガロード防宙団スカル大隊のリーダーであり、人類初となる星間移民団の一員であった。


少なくともこの時までは。




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式典向けの編隊を可変戦闘機群は組んでいた。

メガロードを中心に、式典向けの編隊を可変戦闘機群は組んでいた。

前方にメガロード防宙団のウィップ大隊36機が展開し、左翼には同数のリボルバー大隊、右翼には輝の指揮するスカル大隊が位置している。
今のこの地球上で、メガロード規模の艦艇を攻撃する敵が存在するとは思えないが、こうした陣容を示す事で人々の安心感を買う事が出来る。年末のアラスカの空には、まもなく未知の宇宙へと旅立つメガロードの勇姿が、遠く200km先のオノギ・シティからも容易に見て取れた。

「凄いな、冬のアラスカとは思えない」

垂直尾翼にスカルペイントをあしらった隊長機。本年から新統合軍に制式採用されたVF-4ライトニングⅢに搭乗している一条輝は、澄み渡る青空に向けて目を凝らした。

『少佐、いつもの灰色の空が恋しいでしょう』

スカル大隊の専用回線に飛び込んで来たのは、薄い頭髪を気にしているポーランド人の声だった。
輝は苦笑いをしつつも頷く。

「そうだな。こんなに空が明るいと、隠れる所が無くて落ち着かないな」
『それ、職業病ですよ。You can't switch offってヤツですわ』

カロル・シマノフスキ中尉はヘラヘラと笑っていた。悪いヤツじゃないが、我が強くて始末に負えないタイプの男だ。
パイロットのガラの悪さは“愚連隊”として知られて来た旧スカル大隊の名に恥じないものとも言える。そもそも指揮官の輝自身が決して優等生とは言い難い存在だったので尚更だ。

『それならお前は“能天気病”だ。周りに空気感染させない様に、母艦では息をするなよ』

そのシマノフスキにツッコミを入れたのは、アフリカ系黒人のガガアラ・ワ・ワンジャウ中尉だ。元弁護士という異色の経歴を持っている生真面目な男で、大体シマノフスキの“おいた”を嗜めるのはこのアフリカ人の役回りだった。

『Happy go lucky! 結構な話じゃないの。みんなまとめてアップビートでめでたいこったぜ、このサファリ野郎が』
『何がアップビートだ。お前の場合はnincompoopがお似合いだシマノフスキ』

ワンジャウの返しに、スカル大隊の専用回線に笑いが漏れる。その上にシマノフスキの不機嫌な舌打ちがかぶさった。

『いま笑いやがったのはアパッチ野郎か』
『え、俺⁈…ってアパッチじゃない、ポンカです!』

全然関係ない所から突然批難されて、偉大なアメリカインディアン一族の末裔であるカレタカ少尉は軽く気色ばんだ。普段は大人しい性格の19歳になったばかりの少年だが、自分のご先祖様の事でからかわれるとつい黙っていられない。そしてそれが、シマノフスキにしょっちゅうイジられる原因にもなっている。

『イヌもネコも変わんねえだろ』
『俺は人間です!』
『そうだったな、サリーと一発カマした立派な人間様だ』
『!何でそれを…あ‼︎』

真っ赤に茹で上がったカレタカ少尉の顔が目に見える様だった。シマノフスキの“カマかけ”に見事引っかかったカレタカのせいで、巻き込み事故にあったゼントラーディ人パイロットのサリーが小さく「バカ」と呟くのが聞こえた。

『マジか、やるなカレタカ!』
『さすが狩猟民族!』
『マックス・ミリアに続けよ!』

「その辺にしといてやれ」

笑いながら皆を嗜めるのは、21歳を迎え男として軍人として、そして指揮官として円熟味を増してきた一条輝だ。
まだ10代の頃から部下を持ち、その軍人経歴のほとんどを「部隊長」の肩書きで過ごして来た。今、大隊長として35人の部下を率いている。

「とは言え、俺に報告が無かったのはいただけないな。後でしっかり聞かせて貰うぞ」

輝のセリフに「そんな、少佐まで…」とカレタカ少年は声を細くする。若い彼の青い顔が容易に想像出来て輝は微笑ましかった。

「冗談だ。恋愛はいい、パートナーを大切にしろよ。サリー、聞いているか」
『はい、少佐』

温厚なポンカ族の少年と違い、幾分キツい性格のゼントラーディ人の少女は、しかし上官からの呼び掛けに素直に返事をした。輝は心底嬉しくて笑みが零れる。きっと父親になるって、こんな気持ちなのかも知れない。

「おめでとう。君にも文化がやって来たな」

少しだけ恥ずかしそうに、気の強いゼントラーディ人の少女は「ありがとうございます」と答えた。それを無言で部隊の仲間は祝福する。

「カレタカ、サリーを幸せにしてやれ」
『は、はい!勿論です!』

子供達の面倒を見ている気分で、輝は幸せな表情を浮かべた。そのまま左手に悠然と空に浮かぶメガロードを見やる。

予定の艦載機を全て射出し終え300ノットにまで増速したメガロードは、その美しいシルエットを太陽光の下に晒していた。あまりに大き過ぎて視界に全部収まり切らない。
輝は上部ブリッヂに向けて視線を走らせる。
そこには、愛する女性と自分の遺伝子を受け継いだ命がいる筈だ。

「…そうさ、みんなで幸せになろう。嫌な事は全て終わらせて、物語はハッピーエンドを迎えるんだ」

輝は無意識に、こめかみに手を当てていた。パイロットグローブのゴワついた感触は、最近酷くなりつつある偏頭痛を誤魔化してはくれなかった。


少佐の脳波は、もうパイロットとしては限界です


馴染みの軍医のセリフが頭を掠めた。
何を言っているんだか。俺からコレを取り上げたら、何が残るっていうんだ。

俺には飛行機だけさ。
飛行機だけ…

唇を噛み締めながら、輝は共有回線で交わされる部下達のジョークの飛ばし合いを、聞くともなしに聞いていた。




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メガロードのブリッヂは三層に分かれた構造となっている。

メガロードのブリッヂは三層に分かれた構造となっている。

これは、戦後のタクティクスサポートを一手に担って来たマクロス指令センターを真似たもので、艦長である未沙にとっては馴染みのあるシステムだった。ただ、指令センター長として活躍していた頃に比べて「人に任せる」作業が大幅に増えた為、自分の手を使って何かをするという機会は今やほとんど無くなっている。

仕事をひとに任せるというのは最初はとても不安だったが、タイムコストを稼げるので全体を見て判断する為の思考に集中出来る事、そして何より「広く視野を持つ」のを覚えられた事が大きかった。
また、身重である未沙にとってはキャプテンシートに座したままの今のスタイルはむしろ有難かったと言っても良い。

グローバル艦長も、こうして私達を見ておられたのね

第一層に位置するトップフロアの補佐官2人の背中を眺めながら、未沙はキャプテンシートにゆったりと背中を預けた。

前方上部のタクティカルモニターには、メガロード周辺を囲むように飛んでいる可変戦闘機部隊の展開の様子が映し出されている。
様々な思惑が交わる中、当初200機超の予算が計上されていたメガロードの防宙団は最初の予定より半分の規模に縮小されてしまった。
それでも母艦を囲むこの陣容は見ていてとても心強い。優秀なパイロット達と、頼れる編隊指揮官達。慢性的な人員不足に悩む現在の新統合軍においては、とても贅沢な部隊編成であるとも言える。
そして飛行陣形の右翼には、癖っ毛の青年が指揮する懐かしいコールサイン…スカル大隊がメガロードに並走して飛翔していた。

未沙はそっと左手の薬指に嵌められたリングに触れる。指先に心地よい金属の滑らかな感触が当たった。思わず口元が緩んでしまう。
そんな未沙の様子をチラチラと補佐官2人が盗み見ているのに気が付いて、んっんっとワザとらしく咳払いをした。

「地上との交信は順調かしら?」

「はい」「電波状況良好です」と澄まし顔で答える2人の女性補佐官。ライトポップなイスラム教徒のインドネシア人サニ・スリワイと、小柄なアフリカ系アメリカ人のアナ・アストンだ。答えながらも視線は無遠慮に未沙の左手に集中している。

「早瀬艦長の左手に指輪が戻って来た」

この情報は、既に100人近いクルーが働く三層ブリッヂの隅々にまで伝播されていた。そのせいか、未沙を見上げるセカンドフロア、サードフロアのクルーの顔が妙にニヤニヤとしている気がして、未沙はお尻がむず痒い思いをしている。

別に隠すつもりは無かったが、皆が皆、口には出さないものの明らかに「知りたい!聞きたい!ほじくりたい!」と目を爛々と輝かせて未沙の左手を見つめている。その様子が異様過ぎて多少引き気味ですらあった。

「彼と仲直りして結婚する事になりました」

などと私的な事柄をわざわざブリッヂで発表するのも変だし、こういった事は落ち着いてから改めて…と未沙は思っている。
そもそも今までの経緯が経緯だけに、やり直しの報告自体が少し気恥ずかしいという想いもあったのだ。

しかし、さっきから適当な用事を作ってはトップフロアに上がってくるクルーが後を絶たない。皆あからさまにジロジロと未沙の左手を見て行く。未沙はため息と共にそれらを大人しく迎え入れた。


当分はまた噂の的だわ


それは嬉しいような恥ずかしいような。
いや、きっと幸せな事なのだ。そう思って、未沙は正面のビッグウィンドゥに向き直った。

メガロードは順調にアラスカの空を飛んでいる。




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人類初の星間移民を明日に控え、

人類初の星間移民を明日に控え、世界首都であるシティはクリスマスイヴと合わせて救いようのないお祭り騒ぎに沸いていた。

街の角角にはメガロードの写真が載ったポスターが張り出され、商店のショーウィンドウではメガロードのトイモデルが所狭しと並んでいる。
ビルの壁面に取り付けられた巨大なソリビジョン(立体ディスプレイ)には、リアルタイムでアラスカ上空を飛翔する山脈のように悠然としたメガロードが映し出されていて、人々はその巨大な新時代のメカニズムの塊りを見上げては、口々に人類の未来への期待と希望を語り合った。

戦後急速に発展したクローン農業の成果であるスパークリングワインの栓があちこちで抜かれ、乾杯と明日への展望と過去への追悼が口々に叫ばれる。無数の笑顔と無数の泣き顔、無限に湧き出る様々な感情が奔流のごとく街を渦巻き、電飾とクリスマスミュージックとパトカーのサイレンとが手に手を取ってダンスを踊った。


もう間もなく、MBSチャンネルでリン・ミンメイの引退ファイナルコンサートの中継が始まる。
人々は自宅の居間で、通い慣れたパブで、街灯のオーロラビジョンで、若き伝説の歌姫の登場を今か今かと首を長くして待ち侘びていた。
ミンメイはコンサートの為に、アラスカ上空を行くメガロードに乗っている。今日のライブは、いよいよ新宇宙へと飛び立つ8万人もの移民参加者達への慰問が主な目的だった。そしてその様子は世界中に衛生LIVE中継される手筈となっている。
人類を救った救世主の最後のステージ。当然ながら人々の関心の高さは計り知れない。かつてマクロスでリン・ミンメイを見出し、デビューからずっと追い掛けて来たMBS系レーベル会社プロデューサーの感慨は特にひとしおだった様である。

「君に会えて良かった。今の気持ちをどう言葉にしたらいいのか分からない」

大の大人が鼻水を垂らして涙を流すのを、ミンメイは若干引き気味に慰めていた。

「今までたくさんのありがとうを言って来たけれど、今日のプロデューサーさんへのありがとうは特別よ。本当にありがとう」

Very very very thank you. そう言って、サングラスと口ひげがトレードマークのプロデューサーの頬に、踵を上げて背伸びをしたミンメイがキスをする。涙の味がしてちょっぴりしょっぱかった。
プロデューサーは娘の様でもあり、恋い焦がれたアイドルでもあったミンメイの言葉に益々声を詰まらせる。

「もう、そんなんじゃ心配よ。今日の放送大丈夫なんでしょうね」

笑いながらプロデューサーをからかうミンメイ。周りのスタッフ達も、この日ばかりは感慨深い面持ちでそんな2人を見守っている。
あのリン・ミンメイが、クリスマスイヴの今日を持って歌手を引退する。しかも引退のその当日まで世間へお騒がせネタを振りまいて。
噂の元カレとの邂逅、総理の殴打事件、今やネットニュースの見出しはリン・ミンメイ一色だ。さすがはミンメイ、スキャンダルの女王。リン・ミンメイは最後までリン・ミンメイである。

「さあ、みんな最後まで笑顔でね。今日は楽しいクリスマス・イヴよ」

ミンメイの掛け声に、大勢のスタッフが声を上げて応える。ミラが、タタ・ヤンが、マネージャーが、しっかりとミンメイの目を見て頷いてみせた。
ミンメイはスタッフ一人一人の顔を順番に確認して行く。するとその中に、ボルサリーノをかぶった白いスーツ姿を見た様な気がして思わず笑みが零れた。

「今日までリン・ミンメイに付き合ってくれてありがとう。みんな大好きよ」

この日のミンメイの微笑みは、まさに天使のそれだった。


西暦2013年12月24日午後14時。
いよいよファイナルコンサートの幕が開く。

メガロードに携わった人々にとって、象徴的な出来事として後々まで忘れられないコンサートが。




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iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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