『隣合わせの灰と青春』 目次

地球からの脱出を目論むゼントラーディ残党と、それを阻止しようとするマクロス陣営との戦い。

作戦前、若者たちの最後の一週間。


 1  マクロス司令部内、作戦会議室。

 2  1日目

 3  10月1日のその日は

 4  「嬉しいよ、来てくれて」

 5  2日目

 6  「おたくはどう思ってるんだ?」

 7  遅めの昼食を取っていた。

 8  作戦支援チームの打ち合わせは

 9  「…ねぇ、ヒカル」

10  3日目

11  「噂になってるわよあなた達」

12  バルトロウは普段と変わりなかった。

13  「ミンメイさん、本番です」

14  マッハ3という数字

15  イルミネーションのシーズンだった。

16  バカ、お前

17  宿舎に戻ってきたショーンは

18  金曜日、午前1時。

19  ミスDJ

20  「やだー、それホント?」

21  「忘れようとしたの。でもダメだった」

22  4日目

23  作戦まで残り4日

24  「昨日は悪かったよ」

25  「VX-11、どうした⁉︎」

26  ヒカルは項垂れて待っていた。

27  5日目

28  携帯は留守電だった。

29  未沙は少し後悔した。

30  バルトロウはパイロットチームの面倒を見ていた。

31  「早瀬中佐…」

32  未沙が事故を知ったのは翌朝だ。

33  ヒカルはうまく寝付けなかった。

34  まず未沙に電話を掛けた。

35  6日目

36  何もかもが懐かしかった。

37  「これはまた…」

38  「昨日の俺は身勝手だった」

39  ヒカルは一人教官室に居残っていた。

40  アラスカの寒風に、ヒカルは身をすくめてヘルメットをかぶった。

41  ヒカルは今でも、たまに娘娘を訪れていた。

42  ミンメイは夢を見ていた。

43  「いらっしゃい、あらヒカルちゃん」

44  リン・ミンメイ

45  一条 輝

46  娘娘のおじさんのチャーハンは、やっぱり絶品だった。

47  食事を終えて帰る頃には、かなり遅い時間になっていた。

48  元カレとは盲点だったぜ

49  7日目(最終日)

50  エアトップの施設は無駄に豪華だった。

51  エアトップのウォータークローゼットは広い。

52  未沙はエアトップの指揮官執務室にいた。

53  「…いいご趣味ね」

54  「あなたに申し上げたい事が2つあります」

55  その日は実機が使用された。

56  ショーンがブリーフィングルームに入って行くと

57  ヒカルたちパイロットは帰路に着いた。

58  いつもの曲がり角でジープから降ろして貰った。

59  目を覚ましたヒカルは、

60  食事を終えて、2人でソファに並んで座った。

61  「マックス、元気か?」

62  ジーナ・バルトロウの日記(5月14日〜10月8日の抜粋)

63  10月10日 ヴァーミリオン作戦の翌日

64  「隣り合わせの灰と青春」校了にあてて


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マクロス司令部内、作戦会議室。

マクロス司令部内、作戦会議室。

6名のパイロットを中心に、早朝から「ヴァーミリオン作戦」の説明会が行われていた。


作戦指揮官
マクロス指令センター長
早瀬未沙中佐

戦術支援担当
統合参謀本部
ラジェシュ・ネール中佐

新型機「ヴァーミリオン」技術担当
技術部主任
ジーナ・バルトロウ中佐

作戦情報処理担当
情報部主任
ニカ・チェーホフ少佐

戦術アドバイザー
統合参謀本部
エキセドル・フォルモ記録参謀



「ヴァーミリオン」パイロットチーム

V-101 メインパイロット
ショーン・シーブック少尉

サブパイロット
アラン・ビジャン・シング准尉

V-102 メインパイロット
チャン・ゴウリ中尉

サブパイロット
ジョゼ・モレノ中尉

V-103 メインパイロット 兼 チームリーダー
一条ヒカル大尉

サブパイロット
ワン・ハイジェン少尉



後に「死の作戦」として批判される事になるヴァーミリオン作戦の全容が、この日初めてパイロットチーム6名に公開された。

いま地球の生き残りを賭けて、戦後最大規模の軍事作戦が展開されようとしている。



アラスカの10月。季節は秋からすぐ冬に入ろうとしていた。




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1日目 バルトロウ中佐はパイロット達を見回した。

「このヴァーミリオンは、高度10,000メートル未満での標準速度がマッハ3。俗に言う『熱の壁』を超えた先にあります」

技術部担当のジーナ・バルトロウ中佐は細身のメガネを光らせて、パイロット一堂を見回した。
その顔は何とも誇らし気だ。

「空気摩擦による300度以上の高熱に耐えられるよう、機体にはチタニウム合金を採用。多少強度は落ちますが、機内のパイロットや計器類を高熱から守ってくれます」

静かな室内で、誰かが咳をした。
遠くにバルキリーのエンジン音が聞こえる。

「本来は衛星軌道上から落下運動で加速し、地上を爆撃するものですが、今回は高高度専用輸送機で上空30,000mから落とします。
最高秒速1,000mでターゲットに接近し、徹甲型の反応弾をプログラム通りに撃ち込んで破壊、のち離脱する手順です」

バルトロウの口から発せられる数値に、パイロットたちは顔を引き締める。誰もが経験した事のない領域だった。

「両翼にショックコーンを採用しているので、空気の流れをうまく捌けるのが速度の秘密です。これには莫大な時間と費用が…」

「中佐、その辺で」

止まらないバルトロウに、静かな声が掛かった。


新統合軍マクロス指令センター長、本作戦の指揮官を拝命した早瀬未沙中佐だ。
陰で「氷の微笑」と呼ばれる、顔は笑っているが目が笑っていない早瀬中佐の微笑みに、バルトロウは渋々引き下がる。

「助かった、俺寝落ちしそうでしたよ」

冗談好きなショーン少尉が、隣りの一条大尉に耳打ちする。
まだあどけなささえ感じる18歳の若者の言葉に、一条ヒカルは苦笑だけで返した。

代わってパイロット達の前に立ったのは、戦術支援担当のラジェシュ・ネール中佐だ。インド系にしてヒンドゥーのネール中佐は、浅黒い額にティカと呼ばれる赤い斑点があった。

「高高度輸送機で運ばれたヴァーミリオンは、ターゲットから200km離れたアフリカ上空で投下される。
加速に必要な時間なども加味して、大体200秒ほどでターゲットに最接近出来るだろう」

200秒の作戦。
たった3分強で全てが決まる。
超音速のスピードスター達に相応しい舞台だ。

「最大の問題はここ」

横からバルトロウがしゃしゃり出る。
入れ替わり立ち替わり忙しい人だな、とヒカルは思った。

「落下してから地表までの30秒間。この30秒の間に、機種を起こして水平飛行に入らないと、地面にズドン、よ」

バルトロウが左手で地面に激突する様を演じる。造り主の不吉な一人芝居に、パイロット達の任務に対する緊張感はいや増すばかりだ。
すかさず早瀬中佐の咳払いがバルトロウを襲い、彼女はメガネを抑えて引き下がった。


「本作戦の重要ポイントは、低空飛行による敵レーダーの回避と、超音速で敵の攻撃をかわす、この二点です」

氷の姫と例えられる、凛とした美しさを持つ早瀬中佐が声を張ると、室内の空気がピリッと引き締まった。

若さゆえか、唯一緊張感のない顔で「俺あの人好みですよ」とショーン少尉がヒカルに耳打ちする。
ヒカルは早瀬中佐から視線を外さずに「俺もだ」と答えた。

「皆さんの健闘を期待します」

早瀬中佐の言葉に、パイロット6名は起立して敬礼で応えた。




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10月1日のその日は

10月1日のその日は、後の統合軍記録によると「ヴァーミリオン作戦」という名称が公文書に登場した最初の日だった。

アフリカ大陸の渓谷内に墜落した宇宙戦艦、コードネーム「モールヒル」(モグラの盛土)の破壊がその作戦の目的だ。

2ヶ月に渡る調査により、反政府武装組織はまもなく戦艦の調整を終え、宇宙へ飛び立とうとしている事が分かっている。
現在、地球衛星軌道上のブリタイ防衛艦隊の動きを監視しながら、フォールドの臨界実験を繰り返しているらしい。

今を逃せば、彼らはすぐにでも宇宙に逃げ果せてしまうだろう。


「作戦は三段構えです」

マクロス指令センター長、本作戦の指揮官である早瀬未沙中佐は、キリリと顔を上げて新統合軍幹部に説明する。


「まずヴァーミリオン三機が順番に攻撃を仕掛けます。威力的には一撃でターゲットを破壊可能なので、一機目の攻撃が決まれば作戦は終了です。
失敗した場合、二機目、三機目が続きます」

まるで拳銃の弾丸のようだ、と言いながら未沙は思った。


「ヴァーミリオンの攻撃でターゲットを破壊出来なかった場合、周辺空域に展開させたバルキリー部隊が総攻撃を掛けます。
モールヒルから500キロ離れた地点に包囲網を敷き、反応弾を装備した120機が一斉にターゲットへ攻撃を加えます」


そうならなければいい。
ヴァーミリオンの最初の攻撃で終わってくれれば、敵が地表フォールドという緊急避難をする時間を与えなくて済む。
そしてヴァーミリオンのパイロット達も、皆無事に帰れる。


「三段目は、衛星軌道上からの艦砲射撃です。ただ、これにはアフリカ上空にブリタイ艦隊を展開させる準備時間が必要であり、最終手段と言っていいでしょう」


未沙の説明に、軍幹部達はもう作戦が成功したかの様な雰囲気であった。
ここまでやれば逃げられまい、単純にそう考えている。

何しろ戦力差は圧倒的なのだ。
要はいかに相手に逃げる隙を与えないかである。その為にはヴァーミリオンの奇襲がもっとも適していた。

その事は未沙もよく分かっている。
地球の未来の為に、これから生まれてくるであろう子供達の為に、今は戦わなくてはならない。

ただ、ヴァーミリオン自体は非常に危険な爆撃機だった。


「成功の可能性はどう見積もるかね」

上席のジノビエフ准将が質問した。
軍官僚あがりで、実戦を指揮した経験がない事からパイロット達からは敬遠されているとの噂だった。
情報ソースは指令センターのオペ陣だ。

「100%成功します」

未沙は即答した。
失敗するつもりはハナからない。大勢の命と、地球の未来がかかっている。
ヒカルなら「取り敢えずやってみないと分からない」と答えるかも知れない。
でも、未沙は色んな感情が相まって「失敗」などという言葉を使いたくなかった。


「勇ましいことだ、結構結構」

ジノビエフ准将の言葉には嘲笑するような気配は無かったが、未沙には神経を逆なでる様な蔑意を感じられた。

「バルキリー部隊は120機で足りるのかね」

ジノビエフ准将とは反対側の席に座るマイストロフ准将が、不安そうに未沙に話しかけた。
同じロシア系でありながら、いやむしろそうだからこそ、ジノビエフとマイストロフの2人は水面下で派閥争いをしていると言われている。

「現地アフリカ軍の支援を受けずに展開出来るギリギリの数です。
特に南アフリカ方面軍は、首謀者早瀬アキラの息が掛かっており、情報秘匿の為にも支援要請などは行っておりません」

今度はジノビエフ准将が目を光らせる。

「その早瀬アキラの事だが、中佐、君に二心がないのはわかっている。
ただ、我々としても気を使わん訳にはいかんのだよ」


またこの話題だ。
未沙は心の中でため息をついた。
未沙の従兄、早瀬アキラは今回の騒動の首謀者だ。
地球人でありながら、ゼントラーディ人を引き連れ宇宙へ飛び立とうとしている。
目的は銀河系に展開するゼントラーディ軍へ地球のメンテナンス技術を持ち込み、監察軍との戦いに勝利をもたらす為だ。

彼はゼントラーディの新たな神になろうとしていた。


「私個人の出自と今回の作戦に関しては、何の支障もない事は幾度も確認なさったはずです」
「それはそうだがね」

いやらしくジノビエフは笑う。
未沙は我知らず身震いした。この男はこうやって公然と若い女を批難するのが趣味なんじゃないだろうか。

「その話は作戦と関係無さそうだな」

未沙に助け舟を出してくれたのは、中央の席に座る新統合軍総司令グローバル元帥だった。
未沙にとっては亡くなった父親に代わる存在だ。

「早瀬中佐、先に進めてくれ」
「はい、総司令閣下」

未沙はグローバルに感謝しつつ、全身にのし掛かるストレスと疲労を感じていた。



今日はヒカルに会って癒されたい…

そんな出来事が、その日遅くにヒカルの家を未沙が訪ねた理由だった。




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「嬉しいよ、来てくれて」

「嬉しいよ、来てくれて」

ヴァーミリオンに搭乗する事が決まってから、ヒカルは連日シミュレーション漬けの毎日を送っていた。
作戦開始までにはあと一週間しかなく、実機に搭乗する残りの機会は数える程だ。
何より、現地の地勢などは実際に飛んで確かめる訳にはいかない。

戦闘はいつだって出たとこ勝負さ、とヒカルは心配する未沙におどけて見せた。


「疲れているでしょう、私がやるから」
「君だって疲れてるだろ?」

未沙とヒカルは、自然と並んでキッチンに立っていた。
時刻は23時を過ぎていて、夕食と言うより夜食になりそうだ。


未沙から「今夜会いたいです」とメールを貰ったので、20時には帰宅していたヒカルはシャワーを浴びて寝て待つ事にした。

「寝てるから起こして」

と返事をしておいたのだが、未沙はヒカルを起こさなかった。
疲れているだろう、との気遣いが彼女らしかったが、ヒカルは人の気配を感じて起きてきた。

「起こしちゃったわね、ゴメンなさい」

未沙はヒカルの為に、明日の朝食の準備をしていた。

「未沙、夕食は食べたの?」
「今日はもう食べないで寝ようかと思って」
「食べようよ、お腹すいたよ」

未沙はえっという顔をした。

「食べてないの?」
「うん」

ヒカルは冷蔵庫を開けた。炭酸水を取り出して栓を捻る。

…待っててくれたのね

未沙はヒカルのそんな些細な気持ちが嬉しかった。どうしてこの人は、いつも自然と私の心を溶かしてしまうのだろう。

ヒカルは卵をふたつ、手に持って未沙に見せた。

「俺、ふっくら卵焼きを極めたんだよ。食べてみたい?」

そう言ってキッチンに立つヒカルの背中に、未沙は静かに抱きついた。

「どうしたの?」
「ううん、どうもしないの」

ヒカルは微笑みながら、未沙のするに任せている。


ヒカルの背中が好き
ヒカルの匂いが好き
ヒカルの声が好き
ヒカルの癖っ毛が好き

ずっとこの大きな背中に甘えていたい…


「…訓練で大変なのに、来ちゃってゴメンなさい」

ヒカルは笑って応えた。

「嬉しいよ、来てくれて」




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