僕と私の誕生日 -前編-

今日は一条輝の誕生日だ。

昨晩は前祝いとしてパトロール隊の部下達に下品な地下バーへと連れて行かれた。大勢で騒ぐのは嫌いじゃないが、女の人があられもない格好で迫ってくる店は正直苦手だった。女性がダメだという訳ではない。そういう雰囲気にあまり免疫がなかったからだ。

だからだろうか。酔いつぶれた輝はその晩、世界中が女だらけになった夢を見た。それはとても不思議な夢だった。何ともおかしな夢だった。

…そして朝起きたら女になっていた。

「…は?」

寝ぼけ頭にも、自分の体の変化はすぐに感じ取れた。輝は訝しんで自分の身体を見下ろす。寝間着代わりのランニングシャツの隙間から、見たこともないふくよかな肉が所狭しとはみ出していた。
胸が異様に重い。慌ててシャツを脱ぎ捨てると、そこにはしっかりと立派な乳房が力強く存在を自己主張している。

「いやいやいや!」

慌ててベッドクロスを跳ね除ける。アンダーパンツを脱ぎ捨てて、己が股間を覗き込んでよ〜く確認するが…。
無い。いつものアレが無い。男の象徴というか、我が魂の分身とも言える、尊厳の根っこそのものであるアレが無い。

真っ裸になった輝はバスルームに駆け込む。洗面台の鏡でようく確認する。顔は…いつもよりどことなく小さく幼く見える。髪だけはいつも通りのボッサボサのくせっ毛頭。しかし首から下はほっそりとした体になっていて、背も幾分縮んだように感じられる。そして何よりそのむき出しの胸には、母性の象徴であるはずのハリのあるおっぱいが一対、しっかりくっきりとくっ付いていた。

「な、な、な」

輝は前屈して自分の秘所を確認する。何度見ても無い。代わりに穴が開いている。どういう事だこれは、一体どういう…

「なんじゃこりゃ〜!」

大声を上げる輝。もっとよく見ようと手鏡を探すが、そんな物、男の独り暮らしの家にある訳がない。仕方なく適当なタブレットを持ってソファにドッカと腰掛ける。胡座をかき、タブレットのカメラ機能をONにしてよう〜く「女の子の部分」を観察した。
あまり詳しく書くとPTAに怒られてしまうので書かないが、女の体を手に入れたら男なら誰しもがやるであろう興味本位な事柄を一通り済ませた後、ようやく輝は深い深いため息を吐いて、この現状に対し途方に暮れた。

「俺って、男…だよな…?」

一条輝の受難はこうして幕を開ける。
今日は彼の誕生日だった。




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No title

ひとまず、輝くん誕生日おめでとう。

Re: No title

輝ちゃんおめでとう〜^ - ^

> ひとまず、輝くん誕生日おめでとう。

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Re: なにこれ~(笑)

あ、ご家族大変だったんですね(;・∀・)
お疲れ様です。

なんかこういうのって定番ですけれど、ありそうでなさそうですよねw
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Author:びえり 
iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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