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惑星エデンの首都“アイランド・シティ”。

惑星エデンの首都“アイランド・シティ”。
北大陸の東端にある、300平方マイルほどの島を丸ごと近代都市化したメトロポリスだ。エデンにおける政治経済の中心であり、これから俺たち家族が暮らす街でもある。

「ねぇ、君でしょ?地球から来た転入生って」

短い冬休みが終わり、1月5日から再開された冬学期(日本で言う三学期)から、ここノースポート校のハイスクールに俺は通い始めた。
かつてエデンにいた頃は、エレメンタリースクール(日本で言う小学校)の二回生だった。10年後の今はハイスクールの二回生という訳だ。
妹は、同じノースポート校のミドルスクール(日本で言う中学校)に通っている。

「ああ、航(KOH)って言うんだ。よろしくね」

声を掛けられて、俺は愛想良く応対する。こうした適応力の高さこそが日本人の美徳だと、政府のお役人をしている親父が昔言っていた。ホントかどうかは知らないが、この愛想の良さのお陰で地球でも友達付き合いには困らなかった。
しかし、声を掛けられるのはこれで朝から何人目だろう?ノースポート校ではよほど転入生が珍しいのか、それともいよいよモテ期到来の奇跡が始まったのか…

「ああ、そんなの簡単よ」

フレンチフライを齧りながら、カフェテリアランチ(学食のこと)で俺に色々と教えてくれたのはアビー・ミシェルカと言う女の子だった。
三つ編みおさげの赤毛に、頬いっぱいのソバカスが特徴的な女子だ。かなりなおしゃべりで噂好きだというのは、会って5分で良く分かった。

「“地球帰り”が珍しいからよ。みんなあっちの話を聞きたいんだから」

アビーがニヤリと笑う。その隣りでストロベリー・シェイクをストローでズルズルと吸っていたケニー・イースタディがうんうんと頷いた。

「そうだよね、地球人はここじゃあ珍しいもんね」

ケニーは栗毛碧眼の好青年だ。童顔で可愛らしいルックスだが、低い身長と相まってその事を本人はかなり気にしているらしい。自己紹介の時に「君と同じ“17歳の”ケニー・イースタディだよ」と、俺と同い年である事を何度も何度も強調していた。まあ、そんな事はどうでもいいんだけれど。

「そうだな、多分二回生には地球人はいないな」

俺の隣りに座っていたツォフが腕組みをしながらそう発言する。オレンジ色の髪をして、かなりガタイの良い奴だった。別に本人に聞いた訳じゃないが、見ただけで分かる。間違いなく彼はゼントラーディ人だろう。
ノースポート校に限らず、エデンにはゼントラーディ人が多かった。ガキンチョの頃はそうした人種の違いを意識した事はなかっけれど、地球で10年も暮らしていれば嫌でも「地球人」と「ゼントラーディ人」の違いは分かる。
エレメンタリーでもミドルでも、お互いの環境を侵さぬよう、その2つの人種はハッキリと「区別」されていた。
いや、むしろ「差別」と言っても良かったかも知れない。それらは学校側からも公然の事として認められていた。公平なはずの教師でさえ、その例からは漏れていなかったのだ。

だから、エデンに帰って来て最初に驚いたのはゼントラーディ人が普通に過ごしている事だった。ここでは地球人とゼントラーディ人の区別はない。どちらも同じ人間、いや「エデン人」と言う事なのだろうか。俺には分からないが、そうした空気感のような物をヒシヒシと感じる事がこちでは多々ある気がする。

「地球人って言っても、俺は元々こっちに居たからなぁ」

俺は肩をすくめた。このエデンが発見されたのは今から16年前で、俺と同じ二回生17歳のこいつらは全員エデン以外で生まれている筈であり、その後にこの星へと家族に連れられて入植した筈だ。純粋なエデン生まれのエデン人は俺たちより下の年代にしかいない理屈になる。

「え〜、でもずっと地球に居たんでしょう?」

アビーが不満そうな声を上げる。俺はわざと勿体つけて頷いた。

「そりゃあ居たけれど」
「何歳から?」
「ん〜と、10年前だから…7歳?」
「じゃあ人生の半分以上地球じゃん!いいなぁ〜」

アビーは心底羨ましそうにそう言った。横でケニーがウンウンと頷く。
どうもエデンでは「地球帰り」というだけでかなりのステータスになるらしい。まあ、確かに地球と言えば人類発祥の星だし、21世紀の現代でも政治文明文化全ての基盤となっている。
例えば新統合政府の内閣府は地球にあるし、世界最大の重工業会社である新星インダストリーの本社ビルはアラスカにある。スペース・ビルボードチャートは地球での流行りを一番に取り上げるし、人気のあるディーバがスペース・ツアーをやる時は大トリは間違いなく地球のどこかのステージでだ。かの伝説のリン・ミンメイですらそれは例外じゃない。
ただ「地球で暮らしていた」というだけで自分にプレミア感が生まれている事に、俺の虚栄心はこしょこしょと擽られている。まあ、持ち上げられるのは正直悪い気はしない。行き過ぎると害悪になるのでその辺は注意が必要だが。

「エデンに居たのは7歳までか」

横に幅広い自分の顎を撫でながらツォフが呟く。なんかコイツ妙に賢しそうな雰囲気があって油断出来ない気がする。

「そんな子供の頃なんて、さすがにあんまり覚えていないんじゃないか?」

ツォフの何気ない一言に、何故かその時の俺はハッと反応した。

「いや、覚えていなくもない」

俺はモバイルタブレットを取り出す。写真フォルダを開き、まだエデンで暮らしていた10年前の日付をタップした。

「これ、俺がエデンにいた頃の写真だ」

そこには俺と妹の深雪、そして同じ日、同じメガロードの病院で生まれた「Children of the universe(宇宙の子供)」未来が笑顔で写っている。

「これ、エデンにいた頃の写真なんだ」

モバイルタブレットの画面をみんなに見せる。3人は興味津々に画面を覗き込んできた。

「やだ、可愛い〜!」
「で、どれがコー?」
「見りゃ分かるだろ、左の美男子が俺だ」
「美男子かどうかはともかく、面影は確かに分かるかな」
「…ツォフ、おべっかって言葉知ってるか?」

俺たちはワイワイやりながら昔の話を語り合った。写真の2人の女の子について聞かれたので、俺は妹の深雪と、幼馴染みの未来の説明をする。

「…という訳で、昔馴染みの未来って子がこっちにいる筈なんだけれど、何しろガキの頃の話なので連絡先とかそんなのはまったく覚えていないんだ」

俺は未来が写っている画像をいくつか3人に見せる。おしゃべりアビー、童顔ケニー、ゼントラーディ人のツォフは興味津々といった顔で画面を覗き込んだ。

「もしかしたらこのノースポート校に居たりしないかと思ったんだけど、オタクら心当たりない?」

俺はなるべく軽い感じで3人に質問を投げ掛けてみる。3人は最初それぞれに腕組みをして考えてくれていたが、やがて顔を見合わせてお互いを探り合うような表情で口を開いた。

「…知ってる?」
「う〜ん、分からないや」
「ちょっと心当たりがないかな」

俺は少し肩を落として「そうか」と呟いた。あまり残念そうな感じを見られると変な誤解をされるかも知れないので「まあ、そんなに気にしてないんだけどな、ハハハ」と笑って誤魔化す。

「あ、でも」

アビーがポンと手を叩いた。

「このくせっ毛って、もしかしてミックじゃない?」

アビーの一言に、ケニーとツォフは眼を見張る。

「え?これ、ミックの子供時代の写真?」
「これミックか?そんな訳が…いや、確かに似てるか…いや…」

ん?どういう事?俺は3人の返事を待つが、3人は「いやいや」とか「まさかそんな」と妙な反応を繰り返すばかりだ。

「その、ミックってのは誰?」

俺は気になって質問をする。おしゃべりアビーがその大きな口を開こうとした瞬間、三つ編みおさげの後ろから甲高い声が響き渡った。

「あなたが“地球帰り”さん?」

その声に、3人は一斉にすくみ上がる。俺は何事かと視線を声の主に向けるが、相手はバッチリとこっちを睨め付けている所だった。

「ちょっと、お話聞かせて頂けるかしら?」

現れたのは、毛先がクルクルと巻かれたブロンド白人の女の子だった。
見れば、両脇にお付きの手下みたいなのを2人連れ従えている。

「私、アマンダ・バルヒェットですの。“地球帰り”さん、ちょっとお時間いただけます?」

その場の3人だけじゃない。カフェテリアランチのそこかしこの学生たちの反応から、俺はこの娘が要注意人物である事をハッキリと認識する事が出来た。




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