「話の主体は私が」

「話の主体は私が、軍事の専門家としての意見を求められた際には早瀬大佐がお話になられる。グローバル元帥は締めのタイミングで話を収束させる。宇宙関係の話も早瀬大佐が対応をなさる。航路に関しては公開しない。メガロードの武装についても軍機なので公開出来ない。これで間違いありませんね」

新統合政府のコンラッド・ブエノ報道官は爽やかな笑顔で同意を求めた。
現内閣の顔役であり、マスコミ対策の総責任者であるブエノは、現職の総理大臣が一地方議員だった頃からの秘書官上がりだ。
戦前のハーバードで政治心理学を学んだエリート中のエリートで、その上まだ35歳独身長身イケメンという無敵のスペックを誇る。両親はメキシコ人だったが、本人は生まれも育ちも国籍も旧アメリカ合衆国だった。

その、マスコミ受けする爽やかな笑顔は、ネット上でも多くの女性ファン(主に主婦層)を獲得していた。白い歯とヒスパニック系の浅黒い肌との対比が眩しい。
ポマードで固められた黒髪は8:2分けで、今日もキリリと決まっている。

「もう充分じゃないかね」

そうゴチたのは、新統合軍総司令グローバル元帥だ。困ったような顔で火のないパイプを齧っている。
隣りで星間移民艦メガロード艦長 早瀬大佐がクスクスと笑った。

「念には念を入れませんとね」

すでに同じ内容の話を7度も繰り返している。見た目の爽やかさとは違って、ブエノ報道官は几帳面でキチキチとした神経質な男だった。

「ブエノ報道官は慎重でいらっしゃいますのね」
「いやはや、お恥ずかしい限りです。いわゆる心配性というヤツでして」
「とても頼もしいですわ。私、こうした仕事に慣れていないもので」
「いえいえ、移民計画発表時の早瀬大佐の演説はお見事でした。あの素晴らしい情景が忘れられませんよ」
「お褒めいただき光栄です」

早瀬大佐は緩やかに微笑む。かつては"氷の姫"とまで呼ばれた女性だが、今はその氷の片鱗すら見当たらない。
初めて会ったのは内閣府での打合せの時だった。噂に聞いていたのと違うな、とブエノは心の中で思ったが、顔には出さなかった。

「なに、私に全部お任せください。こんな討論会などよくある話です。今回はちょいとだけ大げさですがね」

ブエノはウィンクしてみせる。早瀬大佐は笑ってくれたが、グローバル元帥は渋い顔だった。
ユーモアのない人だなぁとブエノは思ったが、もちろん顔には出さなかった。




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拍手コメントありがとうございます!

副流煙は大敵ですものねw

もうグローバルもおじいちゃんか〜。
見た目は確かにジジーだもんな〜。

…なんか酷いw
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iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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