「膨大な数のゼントラーディ軍と監察軍がこの銀河系に広がっている事は」

「膨大な数のゼントラーディ軍と監察軍がこの銀河系に広がっている事は、皆さんもよくご存知の事でしょう」

グローバルはゆっくりと話し出す。
肘を円卓にのせ、両手を組んで前を向く。
それはバイバルスと言うより観覧客に、そしてカメラの向こうの全世界の人々に向けて伝えているような感じだった。

「しかしそれはとても大雑把な情報に過ぎない。
いま地球にいる多くのゼントラーディ人の皆さんも、詳しい事はご存知ないだろう。
特別にブリタイ・クリニダク艦隊の首脳陣から受けた情報提供を元に、我々が整理したここ最近の宇宙での出来事を鑑みるに、この地球がいまこうして平和裏に日々を過ごせているのは、ただの偶然か気まぐれな神の与えたもうた奇跡に過ぎないという事が分かってくるのです」

何を言っているんだ?といった顔になる観覧客やGCCのメンバー達。グローバルは忙しいクローディアの代わりに連れてきた第3秘書に「例の資料を頼む」と伝えると、緊張した顔で秘書はスタジオの大型モニターに銀河系の星図を映し出すよう手配をした。
全員の視線が大型モニターに集中する。

「これは約100年前の銀河系の星図です。いくつか色が付けてある星域が見てとれると思います」

それを見ながら、何人かが頷く。グローバルは深くかぶった制帽の下からモニターを見上げた。

「その色付きの星域は、人類以外の文明社会の存在を表しています。ゼントラーディ軍、監察軍以外の宇宙人という意味です」

言葉の意味を理解する速さに個人差があったが、次第に人々の間に驚愕の表情が広がって行く。

「画面左側のペルセウス腕にあるオレンジ色の星域には、成体がアメーバ状の身体を持つ宇宙人文明があった。彼らはテレパシーで交信し、エネルギー体を集約させた非固形質の宇宙船に乗って星々を行き来していたそうです。我々とは異なる物質文明の代表的な存在だ。
オリオン腕のライトグリーンの星域は、この地球にいる昆虫のDNAの元になったと考えられる大型昆虫生物の文明があった。この中では比較的地球に距離が近い文明域だが、我々と違い脳の様な思考器官は無かったと思われます。神経幹細胞がそれに近い役割を果たしていたので、地上の昆虫類とほぼ同等の身体構造をしていたのでしょう。ただしサイズや強靭性は桁違いで、生身で宇宙空間を飛来していた様だ。原理まではよく分かっていない」

ザワザワと騒ぎ出した観覧客を、ムジャヒディンのメンバーは誰も静止しなかった。彼ら自身にとっても、クラシックな意味での「宇宙人」の存在は衝撃的だったのだ。
驚いて黙りこくるバイバルスを見ながら、グローバルは言葉を続ける。

「これら複数の宇宙人文明は、いずれも人類に比較して遥かに規模が大きく活動範囲も広かった。比較するにはあまりに文明形態が違い過ぎるので進化の度合いを測るのは難しいが、少なくとも我々よりは圧倒的に発展していたと言っていいでしょう」

グローバルは第3秘書に頷く。秘書は変わらず緊張した面持ちで、主編成室とリンクしたモバイルタブレットを操作する。
大型モニターの画面が少しだけ変化した。

「そしてこれが現在の銀河系だ。全ての色が消えているのが分かるでしょう」

また数人が頷く。グローバルの言葉の意味が分かった者から、順番に顔色を失っていく。
グローバルは少しの間待った。人々が、現実を理解するまでの時間を与えたのだ。スタジオ内を見回し、ランプのついた稼働中のカメラで視線を止める。
そのまま、新統合軍総司令は語り出した。

「100年だ。たった一世紀で、この広い銀河系から7つの巨大な文明が失われた。全てゼントラーディ軍の公式記録に残されている。彼らの『戦果』として」

グローバルは全世界に向けて話している。もはやスタジオ内だけの問題では無かった。今ごろ政府の面々はグローバルの勝手な行動に怒り心頭かも知れないが、グローバルはもはや腹を括っていた。
戦いは外敵とだけではない。
内なる敵とどう向かい合うか。それは軍隊を指揮する者にとって永遠のテーマなのだ。

「人類がゼントラーディの大艦隊を退けられたのは、様々な要因が寄与している。そこにおられるリン・ミンメイさんや、文化の素晴らしさを知って我々と行動を共にしてくれたゼントラーディ人の皆さん。そして命を賭して戦った兵士達。彼らの活躍無くしては人類は生き残れなかっただろう。
だが、同じことがまた起きた時、残り少なくなった我々人類は生き残れるだろうか?」

青い顔で、人々は震えている。しかしグローバルは容赦なく言葉を続けた。

「少しでも、我々は生き残る手段を考えなくてはならない。この地球が、明日にでも、いや今この瞬間にもゼントラーディ大艦隊の襲来によって滅ぼされてしまうかも知れないのだ。ならば、一刻も早く人類の生存域を他の星域に広げ、例えこの地球が滅んでも人としての種だけは生き延びらせねばならない」

グローバルは、バイバルスを向き直った。しかし語り掛けている相手はバイバルスにでは無かった。

「それが我々の出した結論なのです。地球の再生を待っていては手遅れになってしまうかも知れない。
確かに、もしかしたらこの先何十年も地球は襲われないかも知れない。そんな楽観視をする事も可能でしょう。ただ一つだけ言えるのは『その日』はいつか必ずやって来る。それがいつかは分からない。未来など誰にも予見出来ないのだ。
4年前、この地球が宇宙人の大艦隊によって滅ぼされるという荒唐無稽な未来を予言出来た人物が、果たしていただろうか」

グローバルは言葉を切った。誰も一言も発さない。

「明日など、誰にも分からないのです。それが生き残った我々人類の現実です。どうか明日の移民計画の意義をご理解頂きたい」

言い終えて、グローバルの双眸は閉じられた。




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おおー

宇宙人にドキッとする「そういう人達」が、なんだか微笑ましい・・

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Re: おおー

そのうちグレイと握手してもらいます(^-^)/

アダムス型UFOにも乗ってもらいましょう


> 宇宙人にドキッとする「そういう人達」が、なんだか微笑ましい・・

拍手コメントありがとうございます!

それがあるから黙ってたんですけどね〜。言っちゃいましたね〜。
まぁグローバルちゃんにしてみたら「お前らも覚悟せぇよ」という事なのでしょう( ̄▽ ̄)

でもまあ人間意外と図太いトコありますからね、TV見ながらハナクソほじってるだけだったりして…
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