輝とチェーホフとの遭遇はまさに偶然だった。

輝とチェーホフとの遭遇はまさに偶然だった。

輝はミンメイと別れた後、何とは無しにTV局の中をウロウロと見学して歩いていた。もうCMも明けている頃だろう。いい加減戻らないとチーリンがまた機嫌が悪くなるかも知れない。自分の出番も、後半討論の煮詰まった頃に出てくるだろうと言っていたし…

気乗りしないまま地下スタジオへのエレベーターに乗ろうとホールで待っていたら、1人の軍人が走って来た。総司令と一緒に来た者だろうか?息を切らせてえらく焦っている。輝の顔を見ると相手は驚いた表情になったが、輝には見覚えのない人物だった。

むしろ輝としては、そのすぐ後ろから走って来たもう1人の方に気を取られた。
ミンメイのチーフマネージャー、かつての旧スカル大隊の戦友ボーリゾン・ボギンスカヤだ。

「あれ、ボリ」

輝を見つけてボーリゾンが叫ぶ。

「輝!そいつを止めて!」
「一条准佐、その殺人犯を捕縛したまえ!」

2人同時に輝に向かって叫ぶ。
「えっ」と輝は驚いて戸惑った。その間に、チェーホフは輝の脇を走り抜ける。

「この役立たず!」

走り過ぎ際、ボーリゾンが輝に言い捨てていく。「何だよ、もう」と訳の分からない輝は取り敢えずボーリゾンの後を追った。

チェーホフは地下への階段を飛び降り始めた。それを追うボーリゾン、後ろから続く輝。すると階下に人垣がある。チェーホフは一目散にその中へと飛び込んだ。

「チッ」

ボーリゾンは舌打ちする。これだけ人目があると何も出来ない。これ以上しつこく追いかけてもきっと藪蛇だろう。
絶好のチャンスを逃したのは痛いが、深追いは禁物だ。一旦引き上げて作戦を練り直した方が良さそうだ…そう思って踵を返し、階段に引き返そうとする。
息を整えるボーリゾンの耳に、あの単語が聞こえてきたのはその時だった。

「リン・ミンメイが捕まってるらしい」

ピクリとボーリゾンの耳が動く。ピタリとエナメルの靴が止まった。追い付いて来た輝が息を弾ませて「何なんだよ」とボーリゾンに聞こうとするのを手で制する。

「ホントか?」
「凄いメンツの人質だな。これで総理大臣でもいれば完全に詰みだったな」
「局内は危ない。連中の仲間がどこをウロついているか分からないぞ」

ボーリゾンは凄まじい表情で人垣に近付く。その中の1人の肩を掴んだ。

「あなた、今なんて言ったの⁈」
「え?あ、あなたは…」
「ミンメイが捕まってる?誰に?どういう意味⁈」

肩を掴まれたTV局のスタッフは、ボーリゾンの迫力に恐れおののいてアワアワと口を震わせている。
代わりに隣りの男がボーリゾンに口を開いた。

「あんた、ミンメイのマネージャーさんだろ?ミンメイ、この先のスタジオに立て篭ってるテロリストに捕まったみたいだよ。ついさっきの事だよ」

「テロリスト⁉︎ミンメイが⁈」

後ろについてきた輝が驚きの声を上げた。
ボーリゾンは背広から携帯を取り出す。電源を入れると、着信がメチャクチャ入っていた。セカンドマネージャー、事務所の社長、スタイリストのミラ、その他もろもろ。

チェーホフを襲うのに、携帯の電源を切っていたのだ。青い顔で現場にいる筈のセカンドマネージャーにかける。コール2回、3回。繋がった。相手は悲鳴混じりの声だった。

「チーフ!!一体どこにいるんですか⁉︎ミンメイが、ミンメイが…!」

ボーリゾンは自らの迂闊さを呪った。




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何はともあれ

騎兵隊の面子は 揃った!
後は、馬だぁ!・・・あっ!武装もしなきゃ(笑)

不幸の頭突きデカ達に期待でしょうか?
いっそ フランク・マーティンやエクスペンタブルズ(消耗部品)が登場?

Re: 何はともあれ

この際、マクロスらしくバルキリーで突っ込んでもらいましょう( ̄▽ ̄)


> 騎兵隊の面子は 揃った!
> 後は、馬だぁ!・・・あっ!武装もしなきゃ(笑)
>
> 不幸の頭突きデカ達に期待でしょうか?
> いっそ フランク・マーティンやエクスペンタブルズ(消耗部品)が登場?
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iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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