ボーリゾンは片手でミンメイを抱え上げると

ボーリゾンは片手でミンメイを抱え上げると、一目散に走り出した。

肩から吊った自動小銃を右手で構え、スタジオの出入り口に立っているテロリストを撃ち殺した。止まらずに、ドアを蹴り飛ばして通路へ飛び出す。

「チーフ!チーフ!」

肩の上で暴れるミンメイ。ボーリゾンの目出し帽を引っ張ると、スポッと外れた。ボーリゾンは通路の左右に目を走らせながら返事をする。

「なに⁉︎ミンメイ」
「戻って!輝が、輝が!」
「ダメよ、まずあなたから脱出するの!」
「イヤ!輝も一緒じゃないと」
「ワガママ言わないの!」

ボーリゾンは通路の先に見えたアサルトスーツに手を振る。味方だと思って近付いて来たテロリストは、ボーリゾンの顔を見て「誰だお前…」と呟いた。ボーリゾンは「ハロー!」と笑顔で応じて即座に撃ち殺す。銃声と振動にミンメイが怖そうにギュッと目をつむった。

ミンメイを担いだまま再び走り出そうとするボーリゾンの顔に、またミンメイが手を伸ばした。顔中を引っ張られてボーリゾンがフガフガ言う。これではとても走れない。

「ちょ…ミンメイやめなさ…フガ」
「戻って!チーフ戻って!」

ミンメイはむにーっとボーリゾンの顔を横に引っ張る。ボーリゾンは諦めてミンメイを肩から降ろした。

「…まったく、あなたは一度言い出したら聞かないんだから」
「お願い、輝を助けて!」

ミンメイはボーリゾンの胸に縋り付いた。この子に頼まれたらどうしてもNOとは言えない。自分がこの子に甘いのはよく分かっている。でも、この子の笑顔の為なら何でも出来た。例え命を賭ける事であっても。

ボーリゾンは笑った。ミンメイの頭を撫でる。すぐ脇を、観覧客達が走って外に逃げて行った。それを横目に見て、ボーリゾンはミンメイを抱き締める。

「ミンメイ、あなたが好きよ」
「チーフ、私も」
「うん。今から私の言う事をよく聞いて。あなたはこの人達と一緒に外に走って逃げるの。あなたが居たら人質になって、テロリストに有利になってしまうわ」
「輝は⁉︎」
「大丈夫、私が行って助けて来るから。すぐに連れて戻って来るわ」
「…彼、怪我してるの。チーフ、輝を助けてあげて」
「ええ、もちろんよ」

ボーリゾンはミンメイのおでこにキスをした。ミンメイは瞳を閉じてそれを受け入れる。

「輝が無事に帰って来たら、そうしたら、あなた達結婚しなさい」

「えっ」

ミンメイは驚いてボーリゾンの顔を見る。見る見る間にその可愛らしい顔が真っ赤に染まった。
ボーリゾンは微笑む。可哀想にミンメイ、泣きじゃくって瞼が赤く腫れているわ。ボーリゾンはグローブを外し、ミンメイの髪をその手で優しく、優しく、愛おしそうに撫でてあげた。

「本当はね。あなたの髪、長い方が好きなの」

それが2人が交わした最後の言葉となる。「じゃあね」と言い残して、蒼氷色の瞳をしたロシア人は微笑みと共に去って行った。

残されたミンメイを、逃げ惑う人々の波が潮流のように飲み込んで、やがて見えなくなった。




関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 懐かしいアニメ作品
ジャンル : アニメ・コミック

コメントの投稿

非公開コメント

拍手コメントありがとうございます!

オカマは長生きですから、大丈夫ですよ(^-^)/

とボリが言うてました〜

拍手コメントありがとうございます!

あ、すみません>_<
今まで何故か強制的に全て非公開になってたので、選べる様に直したんです。
説明が無いと戸惑いますよねゴメンなさい。

改造人間にお茶マスターにピアスフェチにオカマちゃんとAカップ。
そして誰も居なくなった…

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: ひょっとして…あの人を

うふふふ…


(ん?誰のことだろう…やばい分からない…(;´Д`))


どうでしょうね~うふふふ


(ヤバいw誰のことやwww)
カテゴリ
プロフィール

びえり 

Author:びえり 
iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

最新記事
最新コメント
くせっ毛の飛行機乗り
検索フォーム
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR