あ、私死ぬんだ

あ、私死ぬんだ

ミンメイはそう思った。
ほんの数秒前までその身を満たしていた高揚感はあっさりと吹き飛び、冷たい恐怖と暗い絶望とが目の前に闇の帳を引き下げた。

テロリストの向けた銃口はまっすぐ自分の方を向いている。当然と言えば当然だが、歌番組用のミンメイの衣装はその場の誰よりも目立っていた。蛍光イエローのふわふわとしたアイドルファッション。射撃の的に蛍光塗料を塗ったかの様に、興奮したテロリストの目には絶好の標的として映っていたに違いない。

どうしよう
怖いよ
逃げないと
でもどこに?

ミンメイは決して身体が固まった訳でも、恐怖で脚がすくんでしまった訳でもなかった。
もちろん怖かったし、悲鳴を上げてしまいそうになるのを辛うじて耐えていた。しかし頭の一部では、妙に冷静にこの場面を客観視していたのだ。

通路は広いが、隠れられる様な場所はない。あの鉄砲が撃たれたら、私も後ろの観客達もみんな死んでしまうんだろう。
痛いのかな。
いやだな。
死にたくないな。

ミンメイはじっとその銃口を見つめている。

…まだ彼と居たいな

大好きな輝。
助けに来てくれないかな。
あの時も、助けに来てくれたよね。
私とカイフン兄さんが誘拐されたあの時。
カッコ良かったな。
あの時すぐに輝に気持ちを伝えておけば、もっと私達、普通の恋愛が出来てたのかな。

でもいいの。
今は側に居られるから。
輝が、私を抱き締めてくれるから。
例え違う人の影を感じる事があっても…
あなたが居れば、私は幸せだから。


だから、生きたい


ミンメイは心で叫んだ。
声には出なかったけれど、でも心の中は叫びでいっぱいだった。


私、生きたい!
生きて、もっと輝と居たい!
さっきみたいに、歌を歌いたい!
人の気持ちを歌で動かしたい!


引き金が引かれた。
テロリストの放った無数の弾丸は、秒速700mでミンメイの体に襲いかかった。
死までの距離はほんの一瞬だった。とても人間の躱せる速度では無い。

人類を救った世紀のアイドル、リン・ミンメイは、無残にもその身を打ち砕かれて粉々に飛び散った…筈だった。

しかしテロリストが引き金を引くほんの半瞬前にミンメイに飛びかかり、彼女を悪魔の弾道から救ってくれた者がいた。


「ケ、ケインくん⁉︎」

ミンメイの上に覆いかぶさったケイン・サンダースは、青い顔をして彼女に言った。

「ミ、ミンメイ、わ、ワザとじゃないよ」

ケインくんは、右手がギュッと握っている彼女の胸の膨らみの事を、まず何より最初に言い訳した。




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拍手コメントありがとうございます!

やっぱりお約束は外せませんよね〜(〃∀〃)ゞ

17歳と言えば高校二年生です。好きな子のお胸を触っちゃうなんてまるで昔のアメリカンバカ青春映画のよう…阿呆らしい映画が沢山あって昔は良かったw

ただひたすらパンツめくりをするだけの5流映画とか、普通に21時からTVでやってましたもんね。今は絶対無理だろうな〜ww

伏線は張る方も楽しいです(^-^)/
読み返した時に「あ、こんなトコに!」みたいに気付いて貰えるように出来るだけ詰め込もうとしていて収集つきませんwww
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iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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