I heard the sound of falling in love with her. -10-

プールハウスには結構な人が居た。
下の階の混雑といい、いつの時代も健康志向の強い人はそれなりに多いものだ。そんな事を思いながら輝は静かに入水した。二、三度軽く弾んでから身体を前へと傾けゆっくりと泳ぎ出す。
両腕を前へ伸ばし、水に乗り掛かる様に進む。手のひらをお椀の形にして力強く水を捉え、肘を軽く曲げて肩を大きく回した。
バタ足は浮力の補助程度に。推進力は腕の回転で生み出す。右上げで息継ぎをしながらまずは片道25mをサラリと泳ぎ切った。壁に指先でタッチしたら、そのまま足を水底へと着ける。

プールで立つと、水は胸まであった。水深は120cm位だろうか?輝は荒く息を吐くと、背中から壁にもたれ掛かる。水着のゴムが緩いのか気になったので位置を直し、ゴーグルを外すとふーと呼吸を落ち着ける。そういや受付のスタッフが「サイズが合わなければまた言ってください」と言っていた。面倒臭いからワザワザ戻らなかったが。
まだ水が冷たく感じる。でももう少し泳ぎ込めば身体の方が熱くて堪らなくなるだろう。

視線で未沙を探すと、隣りのコースを泳いで来る姿が見えた。波を立てず、緩やかな動きなのにスピードが出ている。とても綺麗なフォームだった。結構な経験者なのだろうか、泳ぎにもそれなりの気品を感じる。
すぐに壁まで泳ぎ切ると、輝の隣りのコースに立った。ゴーグルを外し、輝に笑い掛ける。

「気持ち良いわ。疲れた身体にはキツいけれど」
「ウェイトも結構やったからね」

輝も笑みを返す。運動の順番としては、本来はスイムを最初に行うのが理想的だ。水泳はかなりの体力を使う。疲れてから泳ぐのでは思うように自由に動けないし、何より事故の元にもなる。トライアスロンの競技順などを考えればその辺は一目瞭然だ。
でもまあ、今さらそんな事を言っても仕方がない。輝は「あっちに戻ったら競争しよう」とゴーグルを掛け直した。未沙も「了解したわ」とゴーグルを付ける。2人は息を整えると、ウォームアップ代わりに元来た位置へと泳ぎ出した。

何となく並んで泳ぎ出したのだが、未沙の方が前に出ていた。泳ぎながら視界の先に、泡に包まれた彼女のスイム姿が見える。

やるな少佐

輝は腕に力を入れて速度を上げる。まだ競争をスタートした訳ではないが、侮られるのもシャクだ。輝の負けん気がムクムクと顔を出し始めた。
するとその途中、泳ぐ輝の視界を何か赤い物が過ぎった。水中に浮かぶ赤い物体は輝の進むコースの先に漂っていて、何だろうと訝しむ間も無くすぐに輝の指に絡まった。
輝は水底に足を着いて立ち止まる。プーと息を吐きながら、左手に絡んだ物体を水面の上に持ち上げた。
そして、その正体に気が付いてハッとなる。

それは水着のブラだった。
真っ赤な三角ビキニ。パットもない、ペラペラの薄い布地のブラトップ。輝は驚いてブラごと左手を水中にザブンと沈めた。いや、違う。俺は何もしてない。これは事故だ、何かの間違いだ。

「やだ〜もう」

微妙に音の外れた女の声がした。振り向くと、金髪の白人女性がこちらに向かってプールの中を歩いて来る。
…ブラをしていない。両手で胸を隠そうとしているが、その豊満な肉の塊りは女の小さな手に隠れる様なレベルの代物では到底無かった。
まるで盛り土の様に巨大なそれが水面を掻き分け掻き分け進んで来る。輝は驚くと共にその白い女体をマジマジと見つめてしまった。

「取ってくれてありがとう〜」

女はくねくねと水中を歩きながら、輝のすぐ目の前まで来た。当然、迫力ある双球はドアップで輝の視線を捉える。ゴーグルが幸いして輝の目線を隠してはいたが、少年が女の顔など見ていないのは誰が見ても一目瞭然だった。

「あ、あ、あの」

輝はワタワタと慌てた。ウェービーなブロンドを水に濡らせて、女は真っ赤な分厚いリップを震わせている。両手からはみ出して溢れ出るビッグブーブスが、水面に立つ波に押されてたゆゆんとたわわに揺れていた。

「ね、それ」

女は含み笑いを漏らしながら、顎で輝の左手を指し示す。輝は自分の左手を見た。赤い紐の様なブラが絡まっている。

「返してくれる?とっても困ってるの」

輝は「あ、は、はい!」と大慌てで左手を差し出した。女もちょうど右手を伸ばして受け取ろうとした所で、急いで出した輝の左手とすれ違う。
女が胸から手を離したので、輝は「み、見えた!」と思わずゴーグルの中からガン見した。それが手元を狂わせて、考える間もなく自分の左手はそのたゆゆんとした無防備な巨乳に向かって突き刺さる。
指先に、弾力のある肉の抵抗感が弾け、腕の神経を伝って瞬時に輝の脳を焼いた。

「あん、やだ」

女は身を捩って逃げてみせた。輝は「ア、アイムソーリー!」と顔を真っ赤にして左手を引っ込める。指先にはまだ真っ赤なブラが絡みついたままだ。
輝の慌てっぷりに、女は可笑しそうに笑う。30歳位だろうか?まつ毛もバッチリのプレイガール風美女だった。女は水中に沈んだ輝の左手を見ると、水の中を更に近付いて来る。
輝は音を立てて生唾を飲み込む。女が手を伸ばし、輝の左手に触れた。今度は顔を逸らして見てませんアピールをする輝。女は胸から両手を離し、輝の左手に巻き付いた水着のブラをゆっくりと丁寧に剥がした。

「ね、ちょっと影になってて」
「あ、は、はい」

金髪の女はそのまま輝にピタリと寄り添って、真っ赤な三角ビキニを装着する。絶対それ布が足りてないよと思われるブラを乳房に当てると、輝の目の前でくるりと背中を向けた。

「ね、結んでくれない?」
「え、あ、はい」

輝はもう一度大きな音を立てて生唾を飲み込む。女の濡れた背中は生白くて艶やかだった。震える手でブラ紐を掴むと、不器用な動きで赤い紐を結び付ける。

「キツくしてね?」
「は、はい」
「ふふ、可愛いわね。坊やいくつ?」
「じ、19です!」
「若いのね。毎晩大変でしょう」
「え?毎晩?え?」
「ふふ、今夜のオカズにされちゃいそう」

女はぷっくりとした唇でイヤらしく笑うと、スルスルと輝の元を離れた。「ありがとう坊や」と一言残して手を振りながら去って行く。
輝はヘラヘラと手を振り返してアホヅラでそれを見送った。


冷気に気が付いたのはその数秒後だ。


「あ、あれ」

振り向くと、コースロープのすぐ向こうに鬼より怖い少佐が居た。




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嗚呼、チョイ羨ましい。

チョイ羨ましいシチュエーションですね。
本人は全然悪くないのに、トラブル背負い体質の輝くん。この先どーなる?

みっ見えた!

男の子ですねー輝(^_^)
やっぱり男目線が男の子を面白く描きますねー
水泳の描写とか、読んでいてホントに水の中にいるみたいな感覚になりました。こんな感じの表現、すごく好きです

絡む物体

未沙さ〜〜ん。事故だよ事故〜。
プールを凍らさないでー。

私、輝くんの手に絡んだモノ。輝くんのゆるい腰周りのヒモだと思っちゃいました。( ´ ▽ ` )ノ

この展開、大・好・物ψ(`∇´)ψ

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Re: ナイスショット

この頃はまだお互いに相手を意識する程度だったと思うんですよね。
多少未沙の方が傾倒してたとは思うんですが。

Re: 嗚呼、チョイ羨ましい。

もはやどうにもなりません。

> チョイ羨ましいシチュエーションですね。
> 本人は全然悪くないのに、トラブル背負い体質の輝くん。この先どーなる?

Re: みっ見えた!

びえりオカマだから分かんない( ̄∇ ̄)

嬉しいです、ありがとうございます^ - ^
びえりも昔水泳やってたんです。ブレストの選手でした。


> 男の子ですねー輝(^_^)
> やっぱり男目線が男の子を面白く描きますねー
> 水泳の描写とか、読んでいてホントに水の中にいるみたいな感覚になりました。こんな感じの表現、すごく好きです

Re: 絡む物体

komesaさんていつも隅々まで読んで、推理して話を追ってくれてますよねwありがとうございます^ - ^

こんな展開でよろしければびえりはいっつもこんなもんで御座いますです( ̄▽ ̄)


> 未沙さ〜〜ん。事故だよ事故〜。
> プールを凍らさないでー。
>
> 私、輝くんの手に絡んだモノ。輝くんのゆるい腰周りのヒモだと思っちゃいました。( ´ ▽ ` )ノ
>
> この展開、大・好・物ψ(`∇´)ψ

Re: うひゃあ〜

むしろ最初チャイチュアにしようかと思ったんですが、それだと初対面のインパクトが薄れるな〜とか考えちゃいまして。
それに、チャイチュアじゃそのままじゃ済まなさそうなのでw

この後もエロガッパの応援よろしくお願い致します( ̄▽ ̄)
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iPhoneで書いているので「輝」と打てません

FC2の機能がよく分からないので、何か変だったら教えてください(´・ω・`)

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